欲しかったものを買った。少しだけ贅沢をした。本当は嬉しいはずなのに、お金を支払った瞬間、胸のどこかがチクッと痛む。

お金を使うと、なぜか罪悪感がわいてくる。そんな感覚に、心当たりはないでしょうか。

しかも厄介なのは、これが無駄遣いのときだけ起きるわけではないということ。必要なものを買っても、自分のために少しだけお金を使っても、ちゃんと稼いだお金で支払っても、それでも申し訳ないような、落ち着かない気持ちが残る。たまに何かを買うだけでも、心がザワつく。

この記事では、私が10年以上『お金モテ®』という考え方を伝えてきた経験と、たくさんの方のお金の悩みに向き合ってきたなかでみえてきた、「お金を使う罪悪感の正体」と、それを少しずつ軽くしていく方法を、できるだけやさしくお話ししていきます。

先にお伝えしておくと、その罪悪感は、あなたの意志が弱いからでも、心が狭いからでもありません。原因は、もっと根の深いところ——あなたが知らないうちに受け取ってきた「お金観」と、潜在意識のクセにあります。

お金を使う罪悪感の正体──それは「使い方」ではなく『あり方』の問題

多くの人は、お金の罪悪感を「使いすぎたから」「もっと節約すべきなのに」という、使い方の問題だと思っています。だから、家計簿をつけたり、支出を切り詰めたりして、なんとか罪悪感を抑え込もうとします。

でも、不思議なことに、どれだけ節約しても、罪悪感は消えません。むしろ「ちゃんと管理できていない自分」を責める材料が増えて、苦しさが増していくことすらあります。

なぜでしょうか。それは、お金を使う罪悪感の正体が、お金の使い方ではなく、自分の『あり方』のほうにあるからです。

もう少し具体的に言うと、罪悪感は「お金が出ていくこと」そのものに反応しているのではありません。お金を使うという行為が、あなたの心の奥にある「自分は受け取っていい存在なのだろうか」「自分は幸せになっていいのだろうか」という問いを、刺激していることが原因なのです。

誤解のないように補足しておくと、節約や家計管理が悪いわけではありません。生活を維持する土台として、とても大切なものです。ですが、罪悪感という”感情”の根っこは、数字の管理だけでは解決することができません。感情の問題は、感情が生まれた場所までさかのぼらないと、本当の意味では軽くならないからです。

では、その「生まれた場所」とはどこなのでしょうか?

原因の多くは、親から受け継いだ「お金観」にある

お金を使う罪悪感の、最も深い根っこ。それは多くの場合、子どもの頃に、親から無意識に受け取った「お金観」にあります。

少し私自身の話をさせてください。今でこそお金に関する活動をしている私ですが、その原点は、決して明るいものではありませんでした。

私がまだ幼かった頃、父がお金のことで、よく母に文句を言ったり、責めたりしていたのです。その光景が、私はとにかく嫌で嫌で仕方なかった。「どうして人は、お金のことで大切な人を責めるんだろう」——その小さな嘆きが、やがて「どうすれば人は、お金のことで争わずにすむのか」という問いに変わり、私の今の活動につながっているのです。

何が言いたいかというと、私たちは、お金についての”感じ方”を、理屈ではなく、両親から受け取って育つということなのです。

  • 「お金の話をすると、家の空気が悪くなる」
  • 「贅沢をすると、親が悲しい顔をした」
  • 「欲しいと言うと、ワガママだと叱られた」
  • 「お金は、苦労して我慢して、やっと手にするものだ」

こうした体験を積み重ねた子どもは、大人になっても、お金を気持ちよく使うことに、無意識にブレーキがかかります。お金を使う=悪いこと、楽しむこと=後ろめたいこと、という”感じ方”が、体に染み込んでいるからです。これが、罪悪感の正体のかなりの部分を占めています。

「親を幸せにしなきゃ」という思い込みが罪悪感を生む

もうひとつ、ご相談に乗っていると、よく出くわす根っこがあります。それは「自分が親を幸せにしなきゃいけない」という思い込みです。

この思い込みを持ったまま、「うちの親は、なんだか不幸そうだ」と感じていると、心の中ではこういうロジックが、無意識に働いてしまいます。

「自分は親を幸せにできなかった」→「だから自分が悪い」→「だから自分は幸せになってはいけない」

お金を使う罪悪感が生まれる思い込みの連鎖|親を幸せにしなきゃという無意識

親が満たされていないのに、自分だけが幸せになってしまったら、罪悪感がもっと大きくなる。だから人は、無意識のうちに「自分が幸せになりませんように」「自分らしく生きられませんように」と願うような選択を、自ら選んでしまうのです。お金を気持ちよく使えないのも、そのひとつの表れです。

でも、ここで一度立ち止まって考えてみてほしいのです。そもそも、どうして子どもが、親を幸せにしなければいけないのでしょうか?

親子であっても、ひとりの人間としては別々です。違う価値観で、違う人生を歩んで、全く構いません。親には親の人生があり、あなたにはあなたの人生がある。この当たり前のことに「確かに言われてみればそうかも」という気づきを持てたときはじめて、あなたの人生が、あなただけのものとして動き出すのです。

罪悪感は「潜在意識のブロック」として働いている

ここまで読んで、「頭では分かるけれど、それでも罪悪感は消えない」と感じた方も多いかもしれません。それは、ごく自然なことです。

なぜなら、罪悪感は、自分でも気づいていない「潜在意識」のレベルで働いているからです。

潜在意識というのは、いわば心の自動運転の部分です。私たちが意識できている領域(顕在意識)はごくわずかで、日々の行動や感情の選択は、その大半を潜在意識が握っています。そして潜在意識の力はとても強く、顕在意識でいくら「使ってもいいんだよ」と思おうとしても、潜在意識が「いや、ダメダメ!」と抵抗すれば、そちらが勝ってしまうのです。

お金を使う罪悪感が意志で消えない理由|顕在意識と潜在意識の綱引き(氷山)

つまり、お金を使う罪悪感とは、頭(顕在意識)と心(潜在意識)のあいだに起きている、綱引きのようなものだと言えるでしょう。だから、根性や気合いで「気にしないようにしよう」とするほど、かえって苦しくなるのです。これは意志の問題ではないからです。

もうひとつ、知っておくと楽になる視点があります。それは人の心の状態にはいくつもの段階があり、罪悪感は、その中でもとりわけエネルギーが下がってしまった状態のひとつだということ。罪悪感を抱えているあいだは、行動するエネルギーそのものが、どうやっても湧きにくいのです。私が日頃、周りの方にお伝えしている『エネルギーの視点』という見方を通すと、「動けない」「前に進めない」と感じるのは、あなたが怠けているからではなく、罪悪感がエネルギーを奪っているからだと分かるのです。

稼いでも、罪悪感は消えなかった──「あり方」を変えるしかない理由

「お金がないから不安で罪悪感が湧くに違いない。だったら、たくさん稼げば解決するはず」。昔の私も、そう考えていました。

でも、これは半分しか当たっていません。実際、収入が増えても罪悪感が消えない、という人はとても多いのです。むしろ「稼げば稼ぐほど、使うのが怖くなった」「たまに自分のために物を買うだけでも、申し訳なくなる」という声も、よく耳にします。

ここに、大事な真実が隠れているのです。罪悪感は、お金の”量”の問題ではなく、お金との『関係性』——つまりあり方の問題だということなのです。あり方が変わらなければ、いくら稼いでも、罪悪感はいつまでもつきまといます。

恥ずかしながら、私はこのことを、かなり手痛い形で学びました。「お金は稼ぐものだ」と信じて前のめりになっていた頃、私は株とFXで、1000万円超を溶かしています。お金を追いかければ追いかけるほど、不安と焦りがにじみ出て、お金は私の手から、いとも簡単に逃げていきました。

どん底でお金との向き合い方を根本から変えていくなかで、私はようやく腑に落ちたのです。変えるべきはお金の量や稼ぎ方ではなくて、自分のあり方のほうだった、と。あり方が調うと、不思議なことに、お金を使うときの心のざわつきも、少しずつ解消へと向かっていったのです。

罪悪感が軽くなる「温かいお金」の使い方

では、自分のあり方をどう調えれば、罪悪感は軽くなるのでしょうか?ここで知っておきたいのが、お金には『冷たいお金』と『温かいお金』の2種類がある、という考え方です。

冷たいお金と温かいお金

『冷たいお金』とは、貯金額や収入額、資産額など、数字でしっかりと管理できる、信用から生まれてくるお金です。生活を守る土台であり、安心を支えてくれます。これがあるからこそ、人は新たな挑戦ができるようになります。

一方の『温かいお金』とは、目に見えず、数値化もされないけれど、人と人との信頼から生まれてくるお金です。特に人間関係が良好な人ほど多く持っているのが特徴で、人生における幸福感に大きな影響を及ぼしています。

※2つのお金については『お金にモテるとは?お金に好かれる人に共通する『あり方』』でくわしく解説しています。

お金を使う罪悪感の多くは、お金が「ただ出ていって、消えてなくなる」という感覚から生まれてきます。だとしたら、その逆の、使うことで、自分のエネルギーが上がる『お金を使った温かい体験』を、少しずつ積み重ねていくことが、一番の薬になるのです。

判断の基準は「体温が上がるか?」

とはいえ、いきなり大きな金額を使う必要はまったくありません。むしろ逆です。判断の基準は、たったひとつ、こう自分に問いかけるだけです。

「この使い方をすると、自分のエネルギー(体温)が上がる感じがするか?」

エネルギーが上がる感じ=体温が上がる感じ。ここにYesと感じる使い方に、優先的にお金を使ってみてください。コンビニのコーヒーを少しだけ質のいいものにする。お世話になった人に、ささやかなお礼を贈る。そんな小さなことでも十分ですので。金額は小さくてかまいません。小さく繰り返し続けることにこそ、大きな意味があります。そのたびに、お金を使うことへの恐れや罪悪感を、少しずつ溶かしていくことができるのです。

これは、支出をただの”必要経費”から『自己満足』へと、ほんの少しだけシフトさせていく練習でもあります。「使わなきゃいけないから使う」ではなくて、「自分のエネルギーが上がるからこそ使う」。この感覚に慣れていくことで、お金を使うことへの罪悪感を手放していくことができるのです。

「使えない」と「受け取れない」は、表と裏

そしてもうひとつ、見落とされがちな大事なことがあります。それは——お金を気持ちよく使えない人は、たいてい、お金を気持ちよく受け取ることも苦手だ、ということです。

「お金モテ®」の考え方では、お金の循環を「満たし、調え、与えて、受け取る」という4ステップで考えます。まずは自分を満たし、心と暮らしを調え、その余った分を周りの人たちに与え、その結果、巡ってきたものは素直に受け取る。この4つがぐるぐると回り続けているとき、お金は循環していると言えるのです。

ところが、罪悪感が強い人は、この最後の「受け取る」でつまずきがちです。お金を受け取ろうとすると、「申し訳ない」「もったいない」「自分にはその資格がない」といった気持ちが湧いてきて、受け取りきれない。せっかく与えることができたとしても、受け取らないので、循環がそこで止まってしまうのです。

「使う罪悪感」と「受け取れなさ」は、じつは同じコインの表と裏。どちらも「自分は受け取っていい」という感覚が育っていない、という一点でつながっています。だからこそ、温かく感じられるお金を気持ちよく使う小さな練習が、お金を気持ちよく『受け取る』練習にも繋がっていくのです。

受け取り上手な人を思い出してみてください。「ありがとう!うれしいです!」と、素直に受け取ります。あのまっすぐさこそが、お金にも人にも好かれるあり方なのです。罪悪感を手放していくとは、この「ありがとう」と受け取れる自分を、少しずつ取り戻していくことでもあります。

それでも、つらすぎるときは

ここまで、お金を使う罪悪感を軽くしていく考え方をお伝えしてきました。ですが、もし今、その罪悪感があまりにも重く、日々の生活や心の健康にまで影を落としているなら、どうか、ひとりで抱え込まないでください。

幼い頃の家庭の体験が深く関わっている場合、自分ひとりで向き合うのが難しいこともあります。つらさが大きいときは、心療内科やカウンセリングなど、専門家の力を借りることも大切な一歩です。我慢して頑張ることだけが、正解ではありませんので。

まとめ──お金は、あなたのあり方を映す鏡

最後に、要点を振り返っておきましょう。

  • お金を使う罪悪感の正体は、使い方ではなくあり方の問題
  • 根っこの多くは、親から受け継いだお金観「親を幸せにしなきゃ」という思い込み
  • 罪悪感は潜在意識のレベルで働くから、意志では消えない
  • 稼いでも消えないのは、量ではなくお金との関係性の問題だから
  • 軽くする一歩は、「エネルギー(体温)が上がる」お金の使い方を小さく重ねること
  • 「使えない」と「受け取れない」は表と裏。「ありがとう」と受け取る練習を

お金を使う罪悪感は、あなたがダメだから生まれるのではありません。それはむしろ、あなたが誠実で、人やお金を大切にしたいと願ってきた証でもあります。その優しさはそのままに、自分を責める方向から、自分を満たす方向へと、少しずつ向け直していって欲しいなと思います。

私がいつもお伝えしているのは、お金の現実は、自分の『あり方』を映す鏡だ、ということです。お金を使うときに胸が痛むなら、それは「もっと自分を受け取ってあげていいよ」という、鏡からのサインなのかもしれません。かつて1000万円超を溶かした私でも、独立してからもう10年以上、好きなことを仕事にして続けてこられています。あり方は、いつからでも調えていけるのです。

その鏡に、今のあなたは、どんな風に映っているでしょうか?とは言え、自分の『あり方』というのは、自分ひとりではなかなか見えにくいもの。そこで、あなたにぴったりなお金とのつきあい方を、分かりやすく映し出してくれる『8タイプ診断』をつくってみました。よかったら、一度チェックしてみてくださいね。

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