お金のメンタルブロックの外し方|4つの原因とタイプ別3分類から調える

本を読んだ。ワークをやってみた。アファメーションも唱えてみた。だけどふとお財布のヒモを緩めた瞬間、いつもの「どうせ私には…」というセリフが口をついて出る。そんなご経験は、ありませんか?
書店にずらりと並ぶ「潜在意識」「心のブロック」の本を、何冊も読んできたのに、なぜかお金のブロックだけがしぶとく居座り続ける。頑張っている自分に、少しだけ疲れてしまっているかもしれません。
この記事では、私が『お金モテ®』という考え方をお伝えしながら10年以上、たくさんの方の”お金のつまずき”をみてきた経験をもとに、お金のブロックの正体を『歴史・哲学・行動経済学』という3つのレンズで解きほぐし、そのうえで『言葉・関係・選択』を書き換えていく3つの実践までを、できるだけやさしくご紹介していきます。
読み終えるころには、ブロック外しは”一発逆転の外科手術”ではなくて、毎日少しずつ調えていく『姿勢矯正』みたいなものなのだと、腑に落ちていただけることでしょう。
お金のメンタルブロックとは?(先に結論を)
お金のメンタルブロックとは、「お金を受け取ってもいい」「自分にはそれだけの価値がある」と思えずにいる、潜在意識レベルでの思い込みのことです。稼ぐ力や知識が足りないから起きるのではありません。お金に対するご自身の『あり方』が、望んでいるものとはズレたままになっている状態だとお考えください。
そして、このブロックを外すのに必要なのは、たった一度の強い体験でも、特別なワークでもありません。やることは3つです。①『言葉』を書き換える、②『関係』を書き換える、③『選択』を書き換える。この3つを毎日少しずつ調えていくうちに、思い込みが緩んでいきます。
なお、その思い込みの出どころの多くは、ご自身で選んだものではありません。育った家庭のなかで、知らないうちに受け取ったお金観であることが多いと言えます。(この点は親から受け継いだお金観で詳しくお伝えしています)。
あなたのお金のブロックを確かめる|口ぐせと行動のチェック
まずは、ご自身のブロックがどんな形で顔を出しているのかを見てみましょう。次の8つを、ひとつずつ読んでみてください。
1.「私にはまだ早い」「身の丈に合わない」が口ぐせになっている
2.お金の話になると、なんとなく話題を変えたくなる
3.報酬や値段を伝えるとき、いつも申し訳ない気持ちになる
4.おごってもらったり、贈り物を受け取ったりするのが苦手
5.自分のためより、人のためのほうがお金を出しやすい
6.欲しいものを見つけても、まず「我慢できる理由」を探してしまう
7.稼いでいる人の話を聞くと、素直に喜べないことがある
8.値上げや単価を上げる話になると、体が固くなる
いくつ当てはまったとしても、ご自身を責めなくて大丈夫です。どれも意志の弱さではなく、これまでに受け取ってきたお金観が、そのまま言葉と行動に出ているだけですので。なぜそうなるのかを、これから順にお話ししていきます。
あなたはどのタイプ?──『受け取れない』『稼げない』『使えない』3分類と最初の一手
「たぶん、私にもお金のブロックがあると思うんです。でも、どこから手をつけたらいいのかが分からなくて」。こういうご相談を、本当によくいただきます。
先ほどの8つのチェック項目は、バラバラに並んでいるわけではありません。これらは、大きく3つのタイプに分かれます。まずは、ご自身がどのタイプに近いのかをチェックすると、最初にやることがひとつに絞りやすいのでオススメです。
| タイプ | 出やすい口ぐせ | 典型的な場面(該当チェック) | 最初の一手 |
|---|---|---|---|
| 『受け取れない』 | 「私なんて、まだまだです」「そんな、申し訳ないです」 | 褒められると否定で返す。おごりや贈り物に身構える。人の成功を素直に喜べない(1・4・7) | お礼を、全部受け取る |
| 『稼げない』 | 「お気持ちで大丈夫です」「高いですよね…」 | 金額を口にする瞬間に声が小さくなる。値上げの話になると体が固くなる(2・3・8) | 次の1件から、単価を1割上げる |
| 『使えない』 | 「まだ使えるから」「私には、もったいない」 | 人のためには出せるのに、自分には出せない。欲しい物の前で我慢する理由を探す(5・6) | 自分に使う予算を、先に取る |
『受け取れない』の一手。今日から1週間だけ、「いえいえ」「そんなことないです」を封印してみてください。その代わりに返す言葉は「ありがとうございます」に統一しましょう。今日、この瞬間から始めることができます。受け取る量が増えるにつれて、ご自身への評価が少しずつ高まっていきますので。
『稼げない』の一手。次のお客さまから、単価を1割だけ値上げすることを検討してみましょう。1割という値幅は、私の経験では相手が離れにくく、それでいて、ご自身の”言い慣れなさ”だけがハッキリと浮かび上がってくる、練習にちょうどいい大きさですので。
『使えない』の一手。月のはじめに、ご自身のためだけの予算を先に確保してください。余ったら使う、という順番でいるかぎり、順番はなかなか回ってこないものです。金額は少額で十分です。大事なのは、金額ではなく、ご自身のためだけに使うお金を確保することなのですから。
そして、これらのタイプ分けは、ご自身がどこから書き換えていけばいいのかの目安にもなります。『受け取れない』なら『関係』から、『稼げない』なら『言葉』から、『使えない』なら『選択』から。とはいえ、どのタイプであっても、いずれ、3つともクリアしていく必要があります。これは優劣ではなく、あくまで順番のお話になります。
お金のブロックはどこで作られた?──親・家庭・学校・失敗体験という4つの刷り込み源
「うちには、そんなお金ないの」子どものころ、こんな言葉を耳にした記憶はありませんか?
お金のブロックは、ある日突然、心の中に生まれるものではありません。長い時間をかけて、いくつもの経路から少しずつ流れ込み、いつのまにか”自分の考え”という顔をして居座っているお金に対する考え方だと言えます。では、その源はどこなのでしょうか?大きく分けると、次の4つになります。
源① 親の口ぐせ
もっとも分かりやすいのが、家の中で繰り返し聞いた言葉です。「お金の話をするのは、はしたない」「うちは、よそとは違うから」「お金持ちは、どこかでズルいことをしている」。
子どもには、その言葉が正しいかどうかを判断する能力や材料がありません。ですから、目の前の大人が口にした言葉は、検討する前に、そのまま丸ごと入ってきやすくなります。しかも一度きりではなく、何年もかけて繰り返し。この回数の力によって、”考え”ではなく”前提”へと変わっていくのです。大人になってから頭で否定してみても、なかなか拭えないのは、そのためです。
源② 家庭の空気
言葉よりも強く残るのが、実は空気のほうだったりします。給料日前の、少しだけ張り詰めた食卓。お金の話題になった瞬間に、両親の声が低くなるあの感じ。封筒を開ける音、通帳を見たあとのため息。
こうしたものは、意味として理解されるのではなく、体感として記憶されます。だからこそ厄介で、あとから「あの空気のせいだった」と特定しにくいのです。お金の話題になると理由もなく胸が重くなる方は、言葉ではなく、この空気感を受け取ってきた可能性があります。
源③ 学校で教わらなかったこと
三つ目は、空白です。私たちは学校で、計算の仕方は習いました。ですが、お金の受け取り方や、自分の仕事に値段をつける方法は、習っていません。その代わりに学んだのは、「お金より大切なものがある」「清く貧しく」といった、お金を語ること自体を少し後ろめたくさせる価値観のほうでした。
誤解のないように補足すると、「お金より大切なものがある」という言葉そのものは、間違っていません。ただ、その一文だけが手渡されて、実際にどう扱うのかが空白のまま大人になると、人はその空白を自己流の不安で埋めてしまいやすくなります。「よく分からないもの」は、そのまま「怖いもの」「不安なもの」へと変わりやすいのです。
源④ 自分自身の失敗体験
そして四つ目。これは大人になってから、自分の手で追加してしまった刷り込みです。
昔、私は株とFXで1,000万円超を失いました。ただ、あとから振り返って本当に痛かったのは、消えた金額そのものではありませんでした。失ったあとの数年間、私が自分に向かって言い聞かせつづけた言葉のほうでした。「やっぱり自分は、お金の扱いに向いていない」「大きなお金を持つと、ろくなことにならない」。
失敗は、出来事としては一度きりです。ところが、その出来事につけた”解釈”のほうは、毎日毎日、自分の口から自分の耳へと繰り返し届けられます。つまり私は、親から受け取ったのとまったく同じ手口で、自分自身に新しいブロックを自ら刷り込んでいたわけです。このように、刷り込みの源は、幼少期だけにあるとは限らないのです。
源をたどるのは、誰かを責めるためではありません
ここまで読んで、「やっぱり親のせいだったのか」と感じられたかもしれません。ですが、この4つを見てきた目的は、犯人を見つけることではないのです。(家庭のなかで受け取ったお金観については、別記事で詳しく書いていますので、そちらもあわせてどうぞ。)
目的は、ただひとつ。「これは、自分が選んだ考えではなかった」と気づくことです。自分で選んだものだと思っているあいだは、それを手放すことが自己否定のように感じられてしまいます。ですが、他人からの預かりものだと分かれば話は別です。選んでいないものは、あとから選び直すことができます。お金のブロックを外す作業は、この”選び直しの権利”を取り戻すところから始まるのです。
Q1:『どうせ私には無理』が消えないのはなぜ?──歴史が教える”お金=信頼”という補助線
まず、ひとつ目のご相談から。「アファメーションを何百回唱えても、『どうせ私には無理』という言葉がふと出てくるのです。どうしてなんでしょうか?」これは、本当によくいただく質問です。
ここで、少しだけ歴史の話におつきあいください。私たちが今、当たり前のように使っている紙幣、ただの紙切れに数字が書かれただけの一万円札は、よく見ると本当にただの紙です。それでもコンビニで商品と交換できるのは、「この紙切れは一万円分の価値がある」という約束を、社会全体が信じているからに他なりません。
お金の歴史を紐解くと、貝殻から石、金、銀、紙、そして今のカタチのないデジタル通貨まで、素材は違っても本質は同じです。それは、「信頼」という目に見えないものを、目に見える形にしてやりとりしている。これこそがお金の正体だと言えるでしょう。つまりお金というのは、そもそもが『信頼の記号』なのです。
ここが分かると、『どうせ私には無理』という言葉の”重さ”が、少しだけ変わって見えてきます。この言葉は単なる弱気ではなくて、自分に対する「あなたは信頼に値しない」という宣言に近いのです。信頼の記号としてのお金は、自分を信頼しきれていない方のところには、なかなかやって来てはくれないもの。
では、そもそもなぜ、何百回もアファメーションを唱えたはずなのに、あの言葉は消えてくれないのでしょうか?じつは、その言葉が届く場所に理由が隠れています。アファメーションは、意識して口にする『顕在意識』の言葉です。ところが『どうせ私には無理』は、そのもっと奥、『潜在意識』に刻まれた自分への評価から顔を出してきます。潜在意識というのは、表面から言葉を何度塗り重ねられても、そう簡単には書き換わってはくれません。むしろ「本当はそう思えていないのに」というズレが、かえって”やっぱり私には無理”を裏書きしてしまうことすらあるのです。潜在意識が信じるのは、唱えた言葉の回数ではなく、自分が実際にどう振る舞ってきたか、という実績のほうだからです。
(願うだけの引き寄せが空回りしてしまうのも、同じ理由からです。→引き寄せが空回りする理由)
とはいえ、いきなり「じゃあ、自分を信頼しよう」と力んでみても、なかなかうまくはいかないもの。そこで、オススメなのが、まずは自分との小さな約束を守る事から積み重ねていくこと。たとえば「今日は10分だけ早く寝る」と決めたら、それだけはなんとしても守り抜く。そんな自分との約束を守る小さな積み重ねが、潜在意識に「私は信頼できる存在なんだ」「お金を受け取ってもいい人間なんだ」というメッセージを届けてくれるのです。
Q2:頑張って稼いでもお金が残らないのはなぜ?──哲学が示す”所有”と”循環”の勘違い
ふたつ目のご相談はこちら。「頑張って稼いでも、なぜかお金が手元に残らないのです。私、そんなに浪費家でもないつもりなのに…」これも、本当に多くいただくご相談です。
今度は少しだけ、哲学の視点を借りてきましょう。西洋・東洋を問わず、多くの哲学者が「所有」というものを考えるとき、必ずぶつかる問いがあります。「そもそも、人はお金や物を本当に”所有”できているのだろうか?」という問いなのです。
たとえば手にしている一万円札は、自分が払った瞬間にお店の売上になり、店員さんのお給料になり、家賃になり、また別の誰かの元へと流れていきます。私たちは、お金を”一時的に預かっている”だけで、実は誰も永久に所有などしていないのかもしれません。
ところが私たちは、この”預かっているだけ”のお金を、つい「自分だけのもの、絶対に減らしたくない」と両手でぎゅっと握りしめてしまいがちです。実は「稼いでも残らない」の正体は、使いすぎよりも、この”握りしめすぎ”にあることが少なくありません。砂を強く握るほど指のすき間からこぼれ落ちていくように、「減らしたくない」という力みが、不安や焦り、さらには見栄や世間体を埋め合わせるための出費を誘発し、かえってお金が減ってしまうことがよく起こるのです。
もちろん、生活を守るために備えて貯めること自体、何も問題はありません。それは『土台』としての冷たいお金(=信用から生まれるお金)で、私たちに安心を授けてくれる大切なもの。ここで言う”握りしめ”とは、貯金のことではなく、「失うのが怖い」という恐れが心まで固くしてしまっている状態のこと。すると、それがストレスを生み、結果として無自覚な浪費につながってしまいやすいのです。
では、どうすれば、この“握りしめる手”は緩んでくれるのでしょうか?Q1と同じで、いきなり大きく変えようとする必要はありません。まずは今月、ほんの少額でかまいませんので、「応援したいな」と思えるお店や人に、見返りを求めずに気持ちよく使ってみることをオススメします。そうして、握りしめる手が緩むほどに、恐れや不安からのムダな出費が減っていきます。留めようとしているはずなのに、なぜか減っていたお金が、気持ちよく手放す方向へと舵を切ったとき、いつのまにか残りはじめる。(この”握りしめ”そのものを手放していく具体的な方法は、お金に執着する人の特徴と、その手放し方で詳しくお話ししています。)所有という「止める」視点から、『循環』という巡らせる視点へ。その一歩から、お金との関係はいい意味で変わりはじめるのです。
Q3:情報や自己投資を重ねてもブロックが外れないのはなぜ?──行動経済学の『損失回避』が仕掛ける罠
みっつ目は、少し耳が痛くなるかもしれないご相談です。「講座もセミナーもたくさん受けてきました。本もたくさん読みました。それなのに、なぜかブロックが外れないのです…」こういうご相談、じつは私自身も昔の自分に重なる部分があって、他人事とは思えません。
ここでご紹介したいのが、行動経済学で知られる『損失回避』という考え方です。人は、手に入れた嬉しさよりも、失う痛みの方を感覚的により強く受け止める傾向があるという有名な話です(出典:カーネマン&トヴェルスキー『プロスペクト理論』原論文(1979))。
これがお金のブロックとどう関係するのでしょうか?じつは、深いところで結びついているのです。「損しないために、もっと投資について学ばなきゃ」「置いていかれないように、このAI講座も受けなきゃ」こうして知識や情報を求めて自己投資を積み上げていくとき、その動機の中心にあるのは、手に入れたいではなく、”失いたくない”だったりします。
つまり、”損したくない”がハンドルを握っている状態で、右足はアクセル、左足はブレーキ。前に進んでいるようにみえて、実は自ら新しいブロックを作り足している状態なのです。
こうなってしまうと、自己投資のつもりで使ったお金が、何の結果にもつながらないままただ溶けていく——私が”事故投資“と呼んでいる、お金を支払っただけで何の結果にもつながらず、ただお金だけが消えてしまう出費——になってしまいやすくなります。お恥ずかしながら、私自身も、以前に株とFXで1,000万円超を溶かしてしまったときには、まさにこの”損失回避のハンドル”を握ったまま、必死にお金を追いかけていたものです。
とはいえ、これは悲観する話ではありません。ただ、この『損失回避』のしくみを知っていればいいだけのお話です。次に何かに申し込もうとしたときに、一旦立ち止まれるようになれます。「これは本当に欲しいから選んでる?それとも”失いたくない”から選んでる?」このたったひとつの問いかけが、”事故投資”を未然に防いでくれるのです。
3つのご相談に共通するもの──お金のブロックの正体は『あり方』のズレ
3つのご相談を並べて眺めてみると、面白いことに気づきます。
Q1の「どうせ私には無理」は、自分との信頼関係の問題。Q2の「稼いでも残らない」は、所有と循環の距離感の問題。Q3の「学んでも変わらない」は、損失回避の動機の問題。
一見バラバラのように見えて、その根底にあるもの。それが、お金の”稼ぎ方”や”貯め方”ではなく、自分自身の『あり方』が、ちょっとだけズレているということなのです。
自身の『あり方』が「自分は信頼できない」「握りしめていないと減ってしまう」「損したくないから動く」という設定になっていると、その上にどれほど立派なテクニックを乗せたとしても、上手く機能しません。ブロックが外れないのは、意志が弱いからでも、勉強が足りないからでもなくて、実はここが最大の原因なのです。
そして『あり方』を調えていったとき、お金には二つの顔があることが、はっきり見えてきます。ひとつは、生活を守る土台となる、数字としての冷たいお金。信用から生まれるお金です。もうひとつは、目に見えず数値化もされない温かいお金。人との信頼関係から生まれてくる、いわば『信頼残高』としてのお金です。
この二つのお金は、同じコインの表と裏であり、両輪でもあります。この両輪が調ってはじめて、お金を必死に追いかけるように稼ぎつづける状態から、人を通じて自然とお金が巡ってくる、私が『お金モテ®』と呼んでいる状態にたどり着けるのです。

あなたのお金のブロックは、『言葉』『関係』『選択』のどこに出ていますか?
一発ではお金のブロックが外れない理由──意識できる1割と、意識できない9割
「あのとき腑に落ちたはずなのに、3日で元に戻ってしまいました」。講座やセミナーのあと、こんな声をお聞きすることがあります。これは、意志が弱かったわけでも、学びが浅かったわけでもありません。ただ、学びが届いた先が違っただけなのです。
私たちが「いま自分はこう考えている」と自覚できている部分は、心全体のごく一部にすぎないと言われています。氷山でいえば、海面から顔を出している1割の部分(顕在意識)。残りの9割の大きな塊(潜在意識)は、水面下で、目には見えないけれど確実に動きつづけています。
この水面下がやっているのは、判断の”自動運転”です。歩くときにどちらの足から出すのかをいちいち考えないのと同じで、お金の場面でも、ほとんどの反応は自動的に生まれます。値札を見た瞬間に身体が強ばる。金額を伝える直前に、声が上ずる。どれも、考えて選んだ結果ではありません。決めるよりも先に、もう終わっているのです。
ですから、講座やセミナーで学んだ新しい考えを1割の側にいくら積み上げても、9割がこれまでと同じ自動運転を続けているかぎり、数日で元に戻されてしまうことが多いのです。一度では外れない理由は、ここにあります。
では、その9割は、どうすれば書き換わっていくのでしょうか?答えは、とてもシンプルです。同じ道を、何度も何度も通ること。これに尽きます。山の中の道に似て、一度歩いただけの道はすぐに消えてしまいますが、毎日毎日通ることで、徐々にハッキリと目に見える道になっていきます。
それと同じで、9割が信じているのは、一回の強さではなく、実際に繰り返した行動の回数のほうなのです。別の項でお伝えしている『姿勢矯正』という言い方は、まさにこの9割に向けた繰り返し作業のことを指しています。
もうひとつ、覚えておいていただきたいことがあります。この9割は、あなたの敵ではありません。むしろ逆で、あなたを守るために、必死にブレーキを踏んでくれている存在なのです。だからこそ、力ずくで引きはがそうとすると、強く抵抗してきます。ですから、大切なのは「このブロックは、私を守ろうとしてくれていたんだね」と一度受け取ってから、少しずつ緩めていくこと。この順序を守りながら、少しずつ新しい行動パターンを小さく何度も繰り返していくことが、結果として最も近道になるのです。
あなたの9割は、まだ守る側?それとも緩みはじめた側?

メンタルブロックの源を掘る内省ワークの3ステップ──恐れの場面→感情の言語化→奥の本音
お金のブロックがどこから来たのか、についてはお話しました。次は、ご自身の手で、その源を探ってみる番です。必要なのは紙とペン。時間にして5分ほどで終わりますので、ぜひやってみてください。
- ステップ1|恐れの場面を、ひとつ書き出す。直近1か月のうちで、お金に関して胸がざわついた瞬間を思い出してみてください。金額、相手、場所までを臨場感溢れるイメージとして描けるくらい具体的に。「なんとなく不安だった」ではなく、映画のワンシーンを切り取るように書くのがコツです。
- ステップ2|そのとき湧いた感情に、名前をつける。「モヤモヤ」で止めないでください。恥ずかしさなのか、申し訳なさなのか、あきらめなのか、悲しみなのか、不安なのか。ひとつの単語に絞ることができると、次のステップがより効果的になります。
- ステップ3|心の奥底の本音を、3回以上尋ねてみる。「その感情の奥で、私は何を怖がっていたのか?」とご自身に問い、出てきた答えに、もう一度同じ問いを重ねます。これを3回以上、繰り返してみてください。そして最後の最後に出てくる言葉が、多くのケースで、ブロックの源に隠れていた言葉になります。
たとえば、こんな感じです。①友人との食事で、本当は選びたいメニューがあったのにも関わらず、思わず安いメニューを選んでしまった ②感じていたのは「恥ずかしさ」だった ③3回以上、自分に尋ねて出てきたのは、「贅沢は私にはふさわしくない」だった、といった感じです。あくまで一例ですが、こうして言葉になって初めて対処できるようになるのです。
出てきた言葉は、すぐに消そうとしなくて大丈夫。むしろ、書いた紙をそのままじっくりと眺めてみてください。不思議なもので、頭の中であれこれと悩んでいるうちは、絶対に変えることのできない真実のように見えていた言葉が、紙の上に移動させた途端、「これは、そもそも誰の言葉なんだろうか」と、少し距離をとって冷静に見ることができるようになりますので。その冷静な客観視点が生まれた時点で成功と言っていいでしょう。
なお、深掘りしすぎて苦しくなったら、途中でやめて全く構いません。ここでの目的は、古い傷を探し出すことではなく、実は自分のものではなかった”預かりものの言葉”を、ひとつ見つけることなのですから。
お金のメンタルブロックの外し方──『言葉・関係・選択』を書き換えてあり方を調える3つの実践
それでは、この『あり方』を、毎日の暮らしの中でどのように調えていけばいいのでしょうか?
私がお伝えしているオススメの方法は、『言葉』『関係』『選択』の3つを、少しずつ書き換えていくというものです。
『言葉』を書き換える
まず最もお手軽なのは、口ぐせを変える、です。特にお金面が上手くいかないときというのは、実は何かを無意識にあきらめていることがほとんどだったりします。それが言葉になると、「したいと思っている”けど”」、「行きたい”けど”」と逆接の接続助詞を無意識に使いがちです。その瞬間、脳はできない理由を自然と探しにいってしまいます。
そこで、「したいと思っている『ので』」、「行きたい『ので』」と、”けど”→『ので』に意識的に言い換えてみてください。すると、どうすればできるだろうか、という思考に切り替わり、「まずは試してみよう」と思えるようになりますので。たったこれだけのことでも、脳が受け取るメッセージが違って、体感が変わりますのでぜひやってみてください。
『関係』を書き換える
次に、関係性について。『信頼残高』は、良好な人間関係の中でしか積み上がっていきません。だからこそ、目の前の方との小さな約束を大切にしていくことです。時間を守る、返事を早めに返す、頼まれごとに気持ちよく応じる。こうした小さな積み重ねが、そのまま『信頼残高』になっていくのです。
そして意外と抜け落ちがちなのが、受け取る練習です。褒められたら「そんなことないですよ」「いえいえ、そんな」ではなく「ありがとうございます」「嬉しいです」と素直に受け取っていく。これも意識していくといいでしょう。プレゼントを受け取る時も遠慮しすぎない。受け取り下手な方ほど、お金の巡りも停滞しがちですのでご注意ください。
『選択』を書き換える
最後に、日々の支出を、ほんの少しでいいですので意識してみましょう。私は支出を、A・B・C・Dの『4つの窓』に分けて意識して使うようにしています。
- A=自己投資:未来の自分の可能性と『あり方』そのものを育てていくために回すお金。
- B=自己満足:使った瞬間、心も体温も上がってくる、心地のいい消費。
- C=事故投資:本人は自己投資のつもりだったのに、支払いをしただけで、結果も学びも残らず、ただお金だけが手元から消えていった出費。
- D=必要経費:日々の暮らしを回すために、支払っている消極的な出費。
実は、自分のためのお金を使えない方ほど、支出がDの必要経費にどんどん偏っていく傾向にあります。そこで実践の核となるのが、まずDの必要経費を『当然の出費』と諦めずに見直してみることです。使わないままのサブスクのように、削れる出費は案外まぎれているもの。そこで浮いたぶんを、Bの自己満足へと回していきます。判断のモノサシはシンプルで、『このお金の使い方をしたら、自分の体温(エネルギー)は上がるかな?』です。その答えがYesなら、優先的に使ってみましょう。
金額の大小は、一切気にしなくて大丈夫です。300円でも、500円でも、1000円でも。これを小さく何度も繰り返し続けていくうちに、「お金を使うことへの恐れや不安」が、少しずつ小さくなっていきますので。

値上げ・単価・報酬提示──稼ぐ側のブロックを外す実践
見積書に金額を打ち込んで、送信ボタンの前で指が止まる。あるいは「おいくらですか?」と聞かれた瞬間、なぜか声が小さくなってしまう。日々のお金の使い方を調えたら、次に待っているのがこの場面です。値付けは少し難易度が高く、その分だけ効き目も大きくなります。
ぜひ実践していただきたいことが、3つあります。
- 金額のあとに、何も足さない。「◯円です。…まあ、ご相談にも応じますので」と言い訳を追加した瞬に、その金額は、自分でも信じていない数字に変わってしまいます。ぜひ、言い切って、そのあとの沈黙は相手からの返事を待つ時間にあててください。
- 提示する前に、声に出して10回言う。ブロックの多くは、金額そのものではなく、言い慣れていないことに原因がありjます。耳が慣れれば、声の震えも減っていきますので、何度も繰り返し声に出して練習してみましょう。
- 値上げ幅は1割、次の新規のお客さまから。既存のお客さまに一斉に、と考えてしまうと、どうしても値上げを躊躇しがちになります。そういうときこそ、次のお客さまから1割値上げしていきましょう。
ここで、ひとつだけ覚えておいていただきたいことがあります。それは、値付けは、数字としての冷たいお金(信用から生まれるお金)のお話に見えて、同時に、温かいお金の話でもあるということなのです。
申し訳なさそうに自信なく金額を伝えると、相手には「この人は、自分の仕事に自信がないのかもしれない」というメッセージが非言語で届いてしまいます。逆に、まっすぐにお伝えして、その金額にふさわしい仕事でお返しするとむしろ信頼されやすくなります。この積み重ねこそが、信頼から生まれる『信頼残高』としての温かいお金を増やしてくれるのです。値上げとは、決して相手から奪うことではないのですから。
ブロックが外れた人の共通点──収入額よりも先に変わる体感の変化
面白いのは、お金のブロックが緩みはじめた方ほど、「収入が上がった!」という変化よりも先に、日常での体感の方が変わりはじめる、ということ。
たとえば、こんな変化の声を、耳にすることが多いです。
- お財布を開くときに感じていた、あの胸のザワつきが、いつのまにか薄らいでいた。
- 他の方の成功や幸せを、素直な気持ちで祝福できるようになった。
- プレゼントやご厚意を「申し訳ない」ではなくて「ありがとうございます」で受け取れるようになった。
- 「自分にこれは必要か」を、自分の体温(感覚)で判断できるようになった。
確かに、これらはどれも、銀行口座残高には現れない体感の変化ばかり。でも、こうしたひとつひとつの積み重ねが、いつのまにか人を通じてお金が巡ってくる豊かな土壌を、あなたの内側で耕してくれているのです。
「お金との関係性が変わる前に、日々の自分のふるまい方を変えたことで、体感が先に変わる」。ブロックが外れた方に共通するのは、いつもこの順序なのです。物事の変化は常に、目に見えない部分が先に変わって、後から目に見える部分が変わります。この順番を忘れて「まだ収入額が増えてないし…」と体感の変化を見落としてしまわないようにご注意ください。
お金のメンタルブロックを解除するコツは”外科手術”よりも『姿勢矯正』──今日からはじめる、あり方調整
ここまでお話ししてきたことを、一言でまとめるなら——お金のブロック外しは、”外科手術”ではなく『姿勢矯正』だ、ということになるでしょう。
外科手術は、悪いところを一発で取り除いてくれるイメージです。確かに魅力的ですし、実際”一発逆転”を売りにする情報も、世の中には少なくありません。一方で、猫背を外科手術で治そうとする人はいないでしょう。日々、意識しながら少しずつ調整していくことでしか、根本的には変わっていかないものです。
お金のブロックも、この猫背と同じ性質を持っています。「今日この講座を受ければ、明日から人生が一気に変わる」ことを期待すると肩透かしにあうでしょう。そうではなくて、「今日の口ぐせ、今日の使い方、今日の受け取り方を、少しずつ調えていこう」と決めて、コツコツと積み重ねていく。そうして、あるとき、ふと振り返ったときに「そういえば以前よりも、お金との関係が楽になったな」と気づく。これがお金のメンタルブロックが解けていく本物のプロセスなのです。
私自身も昔、このことに対して無知だったばかりに、株とFXで1,000万円超を溶かしてしまった苦い経験があります。数字だけのお金を追いかけて”一発逆転”にすがった、その報いでした。ただ、その失敗から学び、お金モテ®という『あり方』を軸に据えて日々を過ごすと決めたことで、おかげさまで独立して10年以上もこうして活動を続けることができています。それも、姿勢矯正としての日々の小さなあり方調整を、コツコツとやってきたからだと自負しています。
お金というのは、あなたの『あり方』の姿をそのまま映し出してくる、いわば姿見のような存在です。猫背を改善すべく、意識して姿勢を少しだけ調えることで、その姿見に映るあなたの立ち姿も、それに合わせて美しく変わっていくものなのです。
お金のブロック外しで、よくお受けする質問
Q. ブロックは、どのくらいの期間で外れますか?
これは体質の改善と似ていて、何日で外れると言い切れるものではありません。ただ、これまで見てきた範囲では、順番はおおよそ決まっています。先に変わるのは口ぐせで、次にお金の使い方、そのあとに手元に残る金額、という順です。ですから「まだ収入が変わらない」と焦る必要はありません。言葉が変わりはじめていれば、もう変化しはじめていますので。
Q. 一度で外せる方法はありませんか?
「一回のセッションで外れます」とうたうものもありますが、私はあまりおすすめしていません。強い体験で一時的に気持ちが上がっても、毎日の言葉と選択が変わらないままだと、ダイエットのリバウンドのように元に戻ってしまいやすいからです。お金のブロック外しは、外科手術ではなく『姿勢矯正』だとお考えいただいたほうが、結果的には近道になります。
Q. お金を受け取るのが、どうしても申し訳なくなります。
受け取ることを「相手から奪うこと」だと感じてしまうと、この申し訳なさが出てきます。ですが、あなたが受け取ったお金は、そこで止まらずに、あなたを通ってまた誰かのところへ巡っていくものです。お金を受け取ることの本質は、相手から奪うことではなく、お金を世の中に循環させる役を引き受けることなのです。この罪悪感そのものについてはお金を使う罪悪感がなぜ消えないのかと他人の目が気になるお金の使い方でも触れていますので、あわせてどうぞ。
Q. アファメーションは、やめたほうがいいのでしょうか?
やめる必要はありません。ただ、順番があります。「私は豊かです」と唱える前に、いま口をついて出る言葉の語尾を、「私は豊かです。”でも・・・”」から、「私は豊かです。なので〜」に変えてみてください。すると続く言葉が変わってきますので。土台の言葉が変わってから唱えるほうが、同じ言葉でも入り方が全く変わってきますので。
なお、あなたのお金のブロックが、どんな『あり方』から生まれているのかは、お金モテ冒険者タイプ診断で1分ほどで見えてきます。3つの方法を試す前に、まず、いまのご自身のあり方を知っておくと、書き換えがスムーズですのでオススメです。
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