「お金に振り回されない生き方」とは?(先に結論を)

「お金に振り回されない生き方」とは、お金を人生の目的の座から降ろし、本来の『手段』へと戻したうえで、自分の『あり方』を調えていく生き方のことです。お金が増えても減っても、自分の価値や機嫌がそれに引きずられない状態、と言い換えてもいいかもしれません。振り回されている状態というのは、たいてい「お金さえあれば不安が消える」とお金に幸せを丸投げしてしまっている状態です。その丸投げを手放して、お金を『信頼』できるようになるほど、将来への不安と執着はゆるんでいきます。以下、その理由と、今日からできる切り替え法をお伝えしていきます。

「お金さえあれば、この不安はきっと消えてくれるに違いない」。昔の私は、この思い込みにどっぷりと浸かり、全く疑ってさえいませんでした。

その結果どうなったのか。株とFXの世界で、気がつけば1,000万円以上のお金を失っていたのです。「もっと」「もっと」と期待を上乗せすればするほど、不安と執着はどんどん膨らみ、サラサラな砂のように指の隙間からお金がこぼれ落ちていったのです。数字に一喜一憂して、朝から晩まで気持ちを揺さぶられ続ける。あれはまさに、お金に振り回されている状態そのものでした。

大切なお金をなくした失意のなか、自分の内側を見つめ直していたときに、ようやく心の底から理解できたことがあります。それは、お金に「期待する」ことと、お金を「信頼する」ことは全くの別物だ、ということだったのです。

この記事では、私が10年以上お伝えし続けてきた『お金モテ®』の考え方をもとに、お金に振り回されない生き方の本当の意味を、できるだけやさしく解説していきます。

なぜ振り回されるのか〜不安と執着の正体

「お金に振り回されない」と聞くと、どこかあきらめや達観のような、冷めた響きを感じる方も少なくないのではないでしょうか?

「もう夢を見るのはやめよう」「頑張っても意味がないからあきらめよう」。そんな投げやりな言葉に聞こえたのだとしたら、この記事の趣旨とはまったく違いますので、少しだけ補足させてください。

私たちがお金に振り回される正体は、お金そのものではありません。お金に寄せている”期待しすぎ”のほうなのです。ですから抜け出すポイントは、期待しすぎを手放して、お金を『信頼』する状態へと切り替えていくこと。期待と信頼は、一見似ているようで、この2つはまったく違う性質を持っているのです。

  • “期待”=「お金さえあれば、私の不安は消えるはず」と、お金に自分の幸せを丸投げする状態
  • 『信頼』=自分の『あり方』を調えていれば、お金は必要な分だけ巡ってくると、腹の底から信じることのできている状態

お金に期待しすぎる方ほど、実はお金のことを24時間考えています。「足りるだろうか」「減ってしまわないだろうか」「もっと稼がなきゃ」。頭のなかは、いつもお金でいっぱい。ところが不思議なもので、そこまで執着しているのに、なかなか、お金は近寄ってはきてくれないもの。

かつての私が、まさにそうでした。「もっとお金を稼げばこの不安から解放されるはずだ」と信じ込んで、株やFXの画面に日中も夜中も張りついていたのです。ですが不安は消えるどころか、日に日に膨らんでいく一方。数字が減れば「取り返さなきゃ」と焦り、数字が増えれば「また明日には減るかも」と怖くなる。増えても減っても、心が休まる瞬間はありませんでした。

最終的に1,000万円を超えるお金を失ったあとに、ようやく気づいたのです。私が本当に欲しかったのは、お金という数字そのものではなくて、「もう不安を感じなくていい」という安心のほうだった、ということに。

でも、お金は私を安心させてくれる万能の道具ではありません。お金にその役割を背負わせすぎると、つまり期待しすぎると、お金とのつきあいは、追いかけるほどに逃げられる苦しい関係になっていくのです。

ここで少しだけ研究のお話もご紹介しておきます。「お金では幸せは買えない」とよく言われますが、実はこれは正確ではありません。2023年、ノーベル経済学賞受賞者のカーネマンと心理学者キリングスワースが共同で行った研究では、多くの人にとって収入が増えるほど、少しずつではありますが幸福度も上がることが確かめられています(出典:Killingsworth=Kahneman=Mellers 2023, PNAS)。

実はこの研究には続きがあって、もともと不安や不満を抱えやすい一部の層では、年収がおよそ10万ドルを超えたあたりから、それ以上は幸福度がほとんど上がらなくなる(頭打ちになる)、とも報告されています。

ただ、ここが肝心なところなのですが、”不安”はそれとは別の軸で動いている、というのが私の実感です。お金が増えても消えない種類の不安、「減ったらどうしよう」「まだ足りない」「もっと増やさなきゃ」という胸のざわざわ感は、金額ではなく『あり方』に起因している可能性が高いということ。つまり、お金を増やすことは、ある程度幸福感に寄与する一方で、振り回される感覚から抜け出すには「お金さえあれば不安が消える」という期待を手放すことが別途必要なのです。

とはいえ、「期待するな」と言われて、明日から手放せるほど簡単ではありません。だからこそまず、今、自分がお金とどんな距離感でつきあっているのかを知ることがとても大切なのです。

期待しすぎと『信頼』の違いを対比した図。左=期待しすぎ、右=信頼。

「お金に振り回されない人」に共通する5つの特徴

お金と『信頼』でつきあうことのできている、お金に振り回されない方には、いくつかの共通点があります。

その共通点の芯にあるのは、「お金に自分の幸せを丸投げしない」という一点です。これは心理学でいう『課題の分離』、つまり自分にできることと、相手(ここではお金)に委ねるべきことを、明確に仕分けることができている状態です。実はこれは、「人に振り回されない生き方」とまったく同じ原理なのです。

  • お金の増減で、自分の価値をジャッジしない(口座残高=自分の価値、とは考えない)
  • 「何のために使うのか」で選ぶ(金額の大小よりも、体温(エネルギー)が上がるかどうかで決める)
  • 人からの好意や感謝を、素直に「ありがとう」と受け取ることができる
  • お金の話を、卑しいものとして避けない(お金を『信頼』できる道具として見ている)
  • 今の自分を、丸ごと受け入れられている(自己受容ができている)

ひとつでも「あ、これはできているかも」と思えたら、一歩前進です。逆に、まだ遠く感じたとしても大丈夫。ここから先の『2軸4タイプ』と『3ステップ』のセクションで、ひとつずつ調えていけますので。なお、お金に好かれる方の『あり方』については、お金に好かれる人の特徴でも詳しくお話ししています。

そもそもお金は目的ではなく手段〜『冷たいお金』と『温かいお金』

振り回されるという現象は、突き詰めると、手段でしかないはずのお金が、いつのまにか目的の座に居座ってしまったときに起こります。目的になった瞬間に、お金は「増えたか減ったか」だけで自分を採点するものさしに変わってしまいます。

では、手段としてのお金とは何なのでしょうか。お金モテ®では、お金を2種類に分けて捉えています。

ひとつが冷たいお金です。これは「信用」から生まれる、数字で管理できるお金のこと。口座残高、給与、売上、貯蓄。生活を支える『土台』であり、目に見えて、数えられて、比べられるお金です。冷たいという言葉に悪い意味はありません。淡々と機能してくれる、とても頼もしい存在です。

もうひとつが温かいお金。こちらは「信頼」から生まれる『信頼残高』であり、目に見えず数値化されない非言語のお金になります。「あの人にお願いしたい」「あの人を紹介したい」という気持ちの積み重ねが、時間差でめぐりめぐって、お金の流れをつくってくれるのです。

この2つは、いわば『お金の裏表』であり、両輪の関係です。片方だけを追いかけると、必ずどこかでバランスを崩します。冷たいお金だけを追えば、数字に一喜一憂して振り回されます。温かいお金だけを頼りにしすぎると、生活の土台が細って、やはり不安に振り回されます。

お金に振り回されない生き方とは、この両輪をどちらも手段として扱えている状態のこと。そのために必要なのが、「いま、自分はどちらに偏っているのか」を知ることなのです。

いまのあなたは、お金に振り回されている側?それとも、信頼している側?

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2軸4タイプで見る、いまのあなたとお金の距離

お金とのつきあい方を見つめ直すときに、私がよく使う『ものさし』があります。それが、この2軸4タイプの見立てです。

横軸に「お金に振り回されている度合い」、つまりお金にすがっているのか、それとも手放すことができているのか。次に縦軸には「自己受容」。自分自身をそのまま受け入れられているのか、それとも受け入れられずにいるのか。この2つの軸で、いまのご自身の立ち位置を眺めてみるのです。

  • タイプA:不足感を数字で埋めようとしがちな『追いかけ屋』
  • タイプB:がんばりに見合う結果を求めすぎる『力み屋』
  • タイプC:手放したフリの奥にあきらめが眠る『あきらめ屋』
  • タイプD2つのお金が両輪で巡り出す『巡らせ屋』

ひとつお断りしておきたいのが、この4タイプはいい悪いを判断するものではないということ。あくまでも「いまの自分の現在地」を知るための地図であり、どちらの方角に一歩を踏み出せばいいのかを知るための方位磁針(コンパス)です。

それでは、4つのタイプをひとつずつ、順番に見ていきます。ご自身に当てはまるところや、身近な方の顔が思い浮かぶところがあれば、それが大切な『気づき』のサインです。

お金に振り回されている度合い(すがる⇔手放す)と自己受容(高⇔低)の2軸で、4タイプ(A追いかけ屋・B力み屋・Cあきらめ屋・D巡らせ屋)を配置した見立ての図。

【タイプA】振り回され「強」×自己受容「低」〜お金にすがるほど遠ざかる『追いかけ屋』タイプ

お金への期待がとても大きい一方で、自分自身のことは受け入れられていない状態にある方が、このタイプAに当てはまります。心のどこかで「いまの自分ではダメだ」という感覚を抱えていて、その”欠けている感じ”をお金で埋めようとしてしまうのです。

かつての私が、まさにこのタイプの代表格でした。株とFXに向かっていた頃、銀行口座残高が増えれば「これで少しは私も価値がある人間だ」と感じ、逆に数字が減れば「やっぱり自分はダメだ」と落ち込む。数字としてのお金の増減に、自分の存在価値そのものを重ねてしまっていたのです。

一般的には、こんなパターンになっている方が少なくないでしょう。

  • お金に関するニュースや相場が気になって、四六時中スマホをチェックしてしまう
  • 銀行口座残高が減ると、それだけで一日中気分がどんよりする
  • 「もっと稼がなきゃ」と、興味のない副業や投資案件にまで手を出してしまう
  • 結果としてお金を溶かす”事故投資“を繰り返し、さらに自己嫌悪が深まる

追いかければ追いかけるほど、お金は逃げていく。この逆説を地で行くのがタイプAだと言えるでしょう。理由は、行動の起点が「不安を消したい」「自分のダメさを埋めたい」という動機だからです。焦りと欠乏感から選んだ選択肢が、いい結果をもたらすことはほぼないのです。

とはいえ、これは自分の努力不足でも、意志の弱さでもありません。ただ、お金に対して”自分を救ってくれる存在”という、過度な期待をしてしまっているだけのこと。そのことに気づいて、期待しすぎを手放すことが、悪循環から抜け出すための最初の一歩になっていきます。

【タイプB】振り回され「強」×自己受容「高」〜夢はあるのに空回りする『力み屋』タイプ

自己受容はある程度できていて、自分の好きなことや夢もはっきり持っているのに、お金に対しては強く期待しすぎている、そんな方が、このタイプBに当たります。

「これだけがんばっているんだから、もっと収入があってしかるべきだ」「この事業がうまくいけば、一気にラクになれるはずだ」。そんな”もっと”のエネルギーで、いつも前のめりに走り続けている方が少なくありません。

タイプBの方は、実はエネルギーそのものは高い水準にあると言えるでしょう。だからこそ、行動量も多いし、成果もある程度は出やすい。ところが、お金に対する期待値を上げすぎているせいで、「これだけやったのだから、もっと貰えてもいいはずなのに」という期待外れ感が常に心の奥に住み着いてしまうのです。

結果、思ったほどの数字がついてこなかったときに、大きく落ち込みます。あるいは、「もっとやれば結果が出るはずだ」と、休むタイミングを見失って走り続けて、やりすぎて体調を崩してしまう。夢はあるのに、なぜか手応えがつかめない。そんな空回りが起きやすいのがタイプBになります。

ここで見落とされがちなのが、冷たいお金だけを追いかけて、温かいお金を後回しにしてしまっているケース。冷たいお金とは「信用」から生まれる、数字で管理できるお金です。一方で温かいお金というのは「信頼」から生まれる『信頼残高』であり、目に見えず数値化されない非言語のお金になります。この信頼残高を積み上げてきた方ほど、良いご縁や仲間に恵まれ、心からやりたい仕事を通じて感謝とともにお金を受け取りながら、人生を謳歌されている傾向にあります。

タイプBの方は、冷たいお金としての数字の側面を気にしすぎて、身近な方々との交流を通じた温かいお金の残高確認を忘れてしまいがちなのが特徴です。結果、「もう少しで結果が出るはずだから」とパートナーや家族との時間を後回しにして禍根を残したり、「もっと新規の人を集めないと」となって、既存のクライアントさんへの気配りを忘れてしまったりしやすい傾向にあります。ご本人にはまったく悪気がないことが多いだけに、もったいない部分でもあります。

【タイプC】振り回され「弱」×自己受容「低」〜あきらめを”悟り”と勘違いする『あきらめ屋』タイプ

お金への期待は手放しているように見えるのに、自己受容ができていない状態が、このタイプCの特徴です。表面的には「もうお金にはこだわらない」「足るを知る、で十分」と語られることが多いのですが、その奥に、実は”あきらめ”が横たわっている状態だと言えます。

これは、外から見ると一見タイプDの巡らせ屋と似て見えるので、ご本人も周りも見分けがつきにくいことが多いのですが、内側の感覚が全く異なります。

  • タイプD=「自分を受け入れているから、お金にすがる必要がない」という信頼の状態
  • タイプC=「どうせ自分にはムリだから、お金に期待しても仕方ない」というあきらめの状態

言葉的には似ていても、そこにあるエネルギーはまったく違います。信頼から出る「振り回されない」は扉が開いていて、温かいイメージです。一方の、あきらめから出る「振り回されない」は扉が閉じていて、どこか冷めている印象を受けます。

実は、タイプCの方は、ご自身を守るために「期待しない」という鎧を身につけていることが多い傾向にあります。過去にお金がらみで傷ついた経験をお持ちだったり、あるいは「お金の話をするのは卑しいこと」と刷り込まれる環境で育ったなどの事情から、お金に対して”期待しないふり”をすることで、傷つかずに済むように無意識にご自身を守ってらっしゃるのです。お金を受け取ることが「悪いこと」のように感じられ、お金を使うことに罪悪感が伴う方も少なくありません。

結果として、生活を支えるための土台としての冷たいお金の流れが細り、人からの厚意や感謝から生まれてくる温かいお金も、うまく受け取れない。「私はお金にはこだわらないから」と穏やかに微笑みながらも、実は少しずつ消耗していることが多いのです。

【タイプD】振り回され「弱」×自己受容「高」〜冷たいお金と温かいお金が巡り出す『巡らせ屋』タイプ

お金への”期待しすぎ”を手放し、なおかつ、自分自身のことを丸ごと受け入れることができている方が、このタイプDになります。まさに、お金モテ®な『あり方』が調っている状態だと言えるでしょう。

タイプDの方の何が違うかというと、お金を”自分を救ってくれる存在”として見ていないところにあります。お金はあくまでもお金であり、使うことに意味のある便利な道具という感覚をお持ちです。生活を支えるための大切な土台であり、感謝や信頼を運ぶ媒体でもあるからこそ、お金の増減だけに一喜一憂しないし、お金に自分の人生を背負わせるような過度な期待もしないのです。

その結果、何が起こるのでしょうか?

  • 数字で管理できる冷たいお金=「信用」から生まれるお金が、生活の『土台』としてしっかり回っている
  • 数値化されない温かいお金=「信頼」から生まれる『信頼残高』が、人間関係のなかで自然と貯まっている

冷たいお金と温かいお金。この2種類のお金は、いわば『お金の裏表』であり、両輪の関係でもあります。片方だけを追いかけてしまうと、どうしてもバランスを崩してしまいがちです。ところが、”期待しすぎ”を手放して、自分を信じることはもちろん、他者もお金も信じられるようになることで、この2つのお金がバランスよく同時に巡りはじめるのです。

タイプDの方は、お金の使い方も特徴的です。しぶしぶ払う”必要経費”だけに偏らず、自分の体温(エネルギー)が上がるところに、積極的に使っていく習慣を持つ方が多いと言えます。そして、人からのご厚意や感謝を、素直に「ありがとう」と受け取ることもできる。その受け取ったエネルギーが、そのまま周りの方への「与える」ことへもつながっていって、無理のない循環の流れに身を置いているのです。この流れをモノの手放しから始める方法は、お金はエネルギーという捉え方でお話ししています。

大事なのは、タイプDは特別な人だけがなれるものではないということです。次のセクションでお伝えする3ステップを、少しずつ続けていくことで、誰でもなれるものなのです。

冷たいお金(信用)と温かいお金(信頼残高)の2つのお金の関係を示した図。

振り回されない支出の仕分け〜一般的な消費・浪費・投資と『お金の4つの窓』

現在地が見えてきたところで、もうひとつ、日々のお金の使い方についても仕分けをしておきましょう。ここが曖昧なままだと、いくら心を調えても、日常のなかで揺さぶられ続けてしまうからです。

家計の分野では、支出を「消費・浪費・投資」の3つに分ける考え方がよく知られています。生活に必要な分が消費、なくても困らないムダづかいが浪費、将来の自分に返ってくるものが投資。とてもわかりやすい整理ですし、家計簿をつけるうえでは十分に役立ちます。

ただ、この分け方には落とし穴もあります。それは、金額と結果だけで良し悪しを決めてしまうということ。「これは浪費だからダメ」と自分にダメ出しをする材料になりやすく、そのジャッジが、かえって罪悪感を生んでしまうケースもあります。そこでお金モテ®では、支出を『お金の4つの窓』として捉え直しています。

  • A:自己投資=学びやスキル、健康など、時間差で自分に返ってくる使い方
  • B:自己満足=体温(エネルギー)が上がる、自分をご機嫌にしてくれる使い方
  • C:事故投資=不安や焦りが起点になって、結果的にお金を溶かしてしまう使い方
  • D:必要経費=家賃や光熱費など、生活を維持するために消極的に払う使い方(実は”見直せる無駄”が紛れていることも多い出費)

一般的な分け方との一番の違いは、Bをムダづかいとして切り捨てない点にあります。世間的には浪費と呼ばれる支出のなかにも、自分の体温を確実に上げてくれるものがあります。それは自分を『満たす』ための、大切なお金の使い方なのです。

一方で、警戒すべきなのはCの事故投資のほう。金額が大きいかどうかではなく、不安が起点になっていないかが分かれ目です。私が1,000万円以上を溶かしたのも、まさにここでした。「もっと稼がなきゃ」という焦りから出た選択は、見た目は投資でも、中身は事故投資だったのです。

仕分けの基準は、金額でも世間の評価でもありません。その支出を選んだとき、自分の体温は上がったか、下がったか。この一点です。この基準を自分のなかに持てた方から順に、お金の使い方で迷うことが減っていきます。

タイプDに近づくための3ステップ〜「お金の問題」を「自分の問題」に翻訳し直す

では、どうすればタイプDの『巡らせ屋』に近づいていけるのでしょうか?

ポイントになるのが、「お金の問題」を「自分の問題」へと翻訳し直す、という視点です。

これまでのご相談を振り返ってみると、お金のご相談で本当に本当に多いのが、実はお金が問題ではないのに、ご本人がお金の問題だと思い込んでいらっしゃるケースです。「収入が減って不安だ」「貯金がなくなるのが怖い」というお話をよくよく伺うと、その奥から出てくるのは、「家族にどう思われるだろうか」「周りにどんな目で見られるだろうか」といった、人間関係や自己受容に関する不安や怖れである方が少なくないのです。

つまり、お金は”表向きの問題”にはなっているものの、本丸はそこではないということ。取り組むべき問題を取り違えて、冷たいお金の数字面だけをなんとかしようとしても、根本的な原因は解決しません。だからこそ、今、お金の問題だと感じていることは、実は自分の問題なんだと気づき、翻訳し直す作業が必要になってくるのです。

ステップ1:「お金への不安」の裏側を1行で書き出してみる

まずは紙とペン(もしくはスマホのメモアプリなど)を用意して、いまご自身がお金に対して感じている不安を、素直に書き出してみましょう。「収入が減るのが怖い」「もっと稼がなきゃと思うと苦しい」など、どんな言葉でも大丈夫です。

次に、それぞれの一文の下に、こう書き加えてみます。「これは、本当はお金の問題ではなく、〇〇の問題かもしれない」。〇〇の部分に入るのは、たいていは人間関係だったり、自己受容だったり、過去のある出来事にまつわる感情だったりします。

大切なのは、頭のなかだけで考えるのをやめて、必ず言葉にして書き出すことです。書き出すことではじめて「あっ、私が怖かったのはお金が減ることじゃなくて、パートナーに何か言われることだったんだ」といった貴重な気づきが得られるようになっていきますので。

ステップ2:小さな『体温が上がる使い方』を、ひとつだけ選んでみる

翻訳作業のあとに取り組むことをオススメしたいのが、少しだけお金の使い方を変えてみることです。具体的には”必要経費”から『自己満足』の側へとシフトしてみることです。Bを増やすために、収入が増えるのを待つ必要はありません。当然のものとして払い続けているDの出費を点検すると、浮くぶんが出てきます。それが、そのままBの原資になってくれます。

問いかけ方はシンプルで、こんな風にご自身に尋ねてみてください。「いまここでお金を使ったら、私の体温(エネルギー)は上がるだろうか?」と。この問いかけにYesと感じるほうに優先的にお金を使ってみましょう。

いつものコンビニのコーヒーを、ずっと気になっていた香り高いちょっとだけ高級な一杯にしてみたり、安いという理由だけで買っていたシャンプーを、好みの香りのものに変えてみたり。金額は数百円程度を上乗せする感じで構いません。むしろ、小さな一歩を積み重ねていくことに大きな意味と価値があります。ご自身の感覚を信じて、小さな選び直しを繰り返していくことにこそ、お金にまつわる恐れや不安を解消していく力が宿っていくのです。

お金の使い方『4つの窓』(自己投資・自己満足・事故投資・必要経費)の図。

ステップ3:受け取ったものを、無理なく循環させていく

3つ目のステップは、「受け取る」を丁寧に扱うことです。

お金モテ®でお伝えしている、お金にモテる4ステップ——満たす→調える→与える→受け取る、のなかで、最もつまずきやすいのが、実はこの「受け取る」です。受け取り下手な方ほど、お金も感謝もエネルギーも、循環の手前で詰まってしまいやすい傾向にあります。

ですから、まずは日常のなかで、いただいたモノや言葉を「ありがとうございます」と、素直に受け取る練習からはじめていくのがオススメです。人からのご厚意も、褒め言葉も、思いがけない小さな贈りものも、「いえいえ、私なんて」「申し訳ない」と遠慮せずに、素直に喜んで受け取ってみる。そうして受け取ったエネルギーで、まず自分自身を『満たし』、そこからまた周りの方へ『与える』へ。そんなふうに循環させていけばOKです。

この『満たす→調える→与える→受け取る』の循環がぐるぐると回りはじめることで、温かいお金=『信頼残高』が、目に見えないところで着実に貯まっていきます。その温かいお金の残高に応じて、冷たいお金が時間差で、人を通じて自然と巡ってくるようになるのです。

お金にモテる4ステップ(満たす→調える→与える→受け取る)の循環図。

その不安は、土台の問題?それとも『あり方』の問題?

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お金に振り回されない現実の土台をつくる〜生活防衛資金と固定費

ここまでは、マインド(心)の切り替えを中心にお話ししてきました。ですが「振り回されない」を絵に描いた餅にしないためにも、現実の土台、つまり冷たいお金=生活を支える『土台』の側の備えも同じくらい大事になります。

もちろん、お金の不安の本丸は、多くの場合これまで見てきた人間関係や自己受容の側にあります。とはいえ、「もし収入が途絶えたら」という現実的な怖れも存在します。だからこそ、その現実の部分にも、具体的なフタをしておくことで安心感が得られやすくなります。

  • 『生活防衛資金』を用意する:生活費の3〜6カ月分を、普段は使わない別口座に分けて置いておく。「しばらくは大丈夫」という感覚が、不安からくる”期待しすぎ”をかなり和らげてくれます。
  • 固定費から見直す:使途のあいまいなサブスクや内容を把握していない保険など、毎月出ていく固定費を1つずつ点検する。減らすほど、必要な収入のラインが下がり、心に余白が生まれます。
  • “必要経費”と『自己満足』を分けて眺める:削るところは削り、体温(エネルギー)が上がるところには気持ちよく使う。このメリハリが、冷たいお金の流れを調えます。

ポイントは、我慢の節約ではない、ということ。「何のために残し、何のために使うのか」をハッキリさせ、メリハリのある使い方をすることです。そうして、土台が調うほど、お金に過剰な期待を寄せなくても済むようになっていきます。

ここで浮いたお金をどこへ回すのか。実はここに、振り回される人とそうでない人の分かれ道があります。D(必要経費)の見直しで生まれた余白をB(自己満足)へシフトしていく、その小さな流れをつくることができるかどうか。次のセクションで、さらに詳しく見ていきます。

収入額より、習慣と付き合い方が差を生む

「もっと収入が増えれば、お金に振り回されなくなるはず」。多くの方がそう思われますし、私自身もかつてそう信じていました。けれど実際に見てきたかぎり、振り回されるかどうかを決めているのは、収入の額そのものではありません。日々の習慣と、お金との付き合い方のほうなのです。

象徴的なのが、収入が増えたときに何が起こるかです。多くの場合、収入が上がると、それに合わせて生活水準もするすると上がっていきます。家賃も、車も、外食も、サブスクも、少しずつグレードが上がる。ところが厄介なことに、上がった生活水準は、そのまま新しい必要経費=Dとして固定されてしまうのです。

そうなると、収入は増えたのに、余白は増えていない。むしろ「この生活を維持しなければ」というプレッシャーが加わって、以前よりもお金に振り回されやすくなってしまう。収入を追いかけたはずが、支出に追いかけられる側に回ってしまうわけです。

ここで効いてくるのが、先ほどのD→Bのシフトという習慣です。収入が増えたときに、そのままDを膨らませるのではなく、Dは据え置いたまま、浮いた分をB(自己満足)へ回してみる。金額は同じでも、意味が全く変わります。Dは「払わされている」感覚を生みますが、Bは「自分で選んだ」という感覚を生むからです。

昔から言われる『足るを知る』も、我慢や引き算の話ではありません。いまの自分にとって、どこまでが十分なのかを自分で決めている状態のこと。その線を自分で引けている方は、収入が増えても減っても、そこまで揺さぶられません。基準としてのものさしが外側ではなく、自分の内側にあるからです。

収入を増やすことは、もちろん素晴らしいことです。ただ、それだけでは振り回されないようにはならない。額を追う前に、付き合い方を調える。順番としては、こちらが先なのです。

自分軸で幸せの基準を決める〜「お金モテ」は人を通じて巡ること

振り回されるとき、私たちは何に振り回されているのでしょうか。お金そのもの、というより、多くの場合、他人の基準ではないでしょうか。

同世代の平均年収、友人の暮らしぶり、SNSに流れてくる誰かの成功報告。それらと自分を並べたとたん、いくら持っていても足りない感覚が湧いてきます。他人の基準で自分の金額を測っているかぎり、上には必ず誰かがいますから、この比較レースには終わりがありません。

かつての私が苦しかったのも、まさにここでした。口座残高という数字で自分の価値を測り、その数字を他人と比べていたのです。数字は毎日動きますから、私の価値も毎日上下する。そんな不安定な足場の上に立っていれば、振り回されるのは当たり前でした。

ですから、まずやめるべきは、他人の基準で金額を測ることです。そして代わりに、自分の基準を持つ。判断材料はシンプルで、これまでお伝えしてきたとおり体温(エネルギー)が上がるかどうかです。世間の評価ではなく、自分の内側の感覚を基準に置く。これが自分軸で幸せの基準を決める、ということなのです。

ここで、少し不思議に思われるかもしれないことをお伝えします。自分軸で『あり方』を調えていくと、結果として、お金のほうが巡ってくるようになるのです。

なぜでしょうか。お金は、空から降ってくるものではないからです。お金は基本的に、人を通じてやってきます。誰かが「この人にお願いしたい」「この人を紹介したい」と思ってくださるからこそ、そこにお金の流れが生まれてくるのです。つまり、温かいお金=『信頼残高』が積み上がったところに、時間差でお金がやってくるのです。

お金モテ®の「モテる」とは、そういうことです。お金を追いかけて手に入れようとするのではなくて、自分を『満たし』、『あり方』を調え、周りへ『与え』、素直に『受け取る』。その循環のなかで、人を通じて自然と十分なお金が巡ってくる状態のこと。自分軸を取り戻すことと、お金が巡ることは、全く矛盾しないのです。

「振り回されない」の落とし穴〜無関心やあきらめとの見分け方

ここで、大切な注意点をひとつ。「振り回されない」を取り違えると、知らず知らずのうちに”無関心”や”あきらめ”へとすり替わってしまうことがあります。先ほどのタイプC『あきらめ屋』が、まさにそれです。

どちらも外から見ると、お金の話に動じず、穏やかに見えます。ですが、中身はまるで違います。

  • 『信頼』からの「振り回されない」=扉が開いている状態。「必要な分は巡ってくる」と信じて、軽やかに手放している温かい状態
  • “あきらめ”からの「振り回されない」=扉が閉じている状態。「どうせ自分にはムリ」と、お金に対する関心そのものを閉じてしまった冷めた状態

見分け方はシンプルです。お金や将来のことを考えたときに、体温(エネルギー)が上がるのか、それとも下がるのか。安心やワクワクが湧いてくるなら『信頼』の側、重く沈むような感覚なら”あきらめ”の側のサインになります。

もうひとつ、わかりやすい目安があります。それは、お金の話題そのものを避けたくなるかどうかです。本当に振り回されていない方は、お金の話を淡々とできます。生活防衛資金の話も、固定費の話も、値づけの話も、普通に扱えます。一方で、あきらめや無関心の側にいると、話題そのものが少し痛くて、つい目を逸らしたくなるケースが多いと言えます。

仮に、「あきらめ」寄りだと気づいたとしても、ご自身を責める必要は一切ありません。それは多くの場合、過去にご自身を守るために、必要に迫られて身につけた”鎧”です。あなたは悪くありません。まずは、その鎧に気づいてあげることが、閉じた扉をもう一度開いていくための最初の一歩になります。怖れや執着の手放し方は、お金の執着を手放す方法もあわせてどうぞ。

お金に振り回されない生き方について、よくいただくご質問

Q. 収入が低くても、お金に振り回されずにいられるものでしょうか?
はい、可能です。振り回されるかどうかを決めているのは、収入の額そのものではなく、お金との付き合い方のほうだからです。実際、収入が増えても生活水準がそのまま上がって必要経費=Dが膨らめば、余白は増えず、かえって「この生活を維持しなければ」というプレッシャーに追われることになります。逆に、収入が控えめでも、生活防衛資金という土台を用意し、Dを点検してB(自己満足)へ少しずつ回せている方は、驚くほど穏やかに過ごされています。まず取り組んでいただきたいのは、額を増やすことよりも、いまの支出を『4つの窓』で仕分けし直すことです。

Q. 「足るを知る」と、どう違うのでしょうか?
向かう方向は同じですが、出発点が違います。『足るを知る』が「もう十分だ」と我慢や引き算として使われると、タイプC『あきらめ屋』に近づいてしまいます。ここでお伝えしている振り回されない生き方は、引き算ではなく、基準を自分の内側に取り戻すことです。どこまでが自分にとって十分なのかを、他人の基準ではなく自分で決める。そのうえで、体温(エネルギー)が上がるところには気持ちよく使っていく。「もう要らない」ではなく「自分で選んでいる」という感覚があるかどうか、が見分けどころになります。

Q. 頭では分かっても、お金の不安が消えません。具体的に何をすればいいのでしょうか?
2つ同時に取り組むことをオススメします。ひとつは現実の土台=生活費の数ヶ月分を『生活防衛資金』として取っておくこと。「しばらくは大丈夫」という安心感が、不安からくる期待をかなり軽減してくれますので。そして、もうひとつが先ほどの3ステップ(書き出し→体温が上がる使い方→循環)になります。現実とマインド(心)の両面を同時に調えていくことで、感覚の変化とともに現実での変化が現れやすくなりますので、ぜひ取り組まれてみてください。なお、不安がゼロになることを目指す必要はありません。不安があっても、それに判断や行動を乗っ取られなくなること。それが「振り回されない」の状態です。

お金に振り回されない生き方とは、お金を『信頼』すること

4つのタイプと3つのステップ、そして支出の仕分けを通じて、お金との関係性を一緒に見直してきましたが、いかがだったでしょうか?

ちなみに、さきほどみてきたA〜Dの4タイプは、あくまでも簡易的な出発点にすぎません。もし、いまの自分がどんなタイプなのかを、もっと詳細に知りたいとお感じなのであれば、お金モテ冒険者タイプ診断(8タイプ)をチェックされてみてください。

あなたとお金の距離は、「振り回され」寄り?それとも『信頼』寄り?

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最後にいま一度、最もお伝えしたかったことをひとつだけ。「お金に振り回されない生き方」というのは、決してお金や夢をあきらめることではありません。「もう夢を見ない」のでも、「頑張らない」のでもなくて、お金に自分の幸せを丸投げする”期待しすぎ”を手放して、代わりに、お金という存在を『信頼』し、人生の可能性を切り拓くためのツールとして、主体的に使うと『決める』ことなのです。

お金を目的の座から降ろして、手段の位置に戻した瞬間、不思議なことが起こります。数字の増減に振り回されていた心が落ち着き、お金はもちろんのこと、周囲の人たちへの感謝が自然と湧き上がってくるようになるのです。そこから、冷たいお金と温かいお金が、少しずつ同時に巡るようになっていきます。

昔の私は、1,000万円超を溶かすまで、この当たり前のことに全く気づけずにいました。「稼げばいい」「増やせばいい」の一択で、お金にすべてを期待して、結果、お金にも自分にも、苦しい思いをさせてしまいました。でも、あのときの遠回りがあったからこそ、いま、独立して10年以上も、お金モテ®というテーマで大切な仲間とともに歩き続けられているのだと感じています。

お金は本質的に、あなたを裏切ることも、あなたを救うこともありません。ただ、あなたの生き方や日々の選択の結果を、そのまま正直に映し出す『鏡』のような存在なのです。その鏡に映る自分を、否定せずに、飾らずに、そのまま受け入れられたときにはじめて、お金は期待という足かせから解放されて、あなたの人生を応援してくれる心強い味方になってくれるのです。あなたとお金との関係性が、今日から少しでもよくなっていくことを、心から祈っています。

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ともたけ@お金モテ®の人
お金モテ®︎の人|お金にモテるって、面白い。|東大→JR九州→MBA→(株)with my style代表|株とFXで1000万円溶かす→お金との向き合い方を変えて再起→メルマガ売上8桁→被災地へ仲間と211万円寄付|法人10期目|オンラインサロン10年運営|競馬・ホテルステイ・読書・クレカ・マイル・BTC好き|オーストラリア馬主
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