お金を使うのが怖いのはなぜ?罪悪感の正体は親のお金観

「お金を使うのが怖い」。レジの前で、財布を開く手が止まる。カートに入れた商品を、結局そのまま消してしまう。買ったあとも「本当に良かったのかな」と、ずっと考え続けてしまう。そんな感覚に、心当たりはないでしょうか?
ひと口に「怖い」といっても、その中身は、だいたい3つの層に分かれています。
- ①残高が減っていく怖さ……数字が目減りしていくこと自体が怖い
- ②将来が足りなくなる怖さ……老後・年金・教育費など、これから先への不安
- ③使うこと自体への怖さ……お金があっても、支払った瞬間、胸のどこかがチクッと痛む
①と②は、数字を把握することで、やわらぐ部分があります。ですが、もっとも厄介なのは③です。無駄遣いのときだけではありません。必要なものを買っても、自分のために少しだけお金を使っても、ちゃんと稼いだお金で支払っても、それでも申し訳ないような、落ち着かない気持ちが残る。このもっとも深い層の正体が、お金を使う『罪悪感』です。
この記事では、私が10年以上『お金モテ®』という考え方を伝えてきた経験と、たくさんの方のお金の悩みに向き合ってきたなかでみえてきた、この深い層——「お金を使うのが怖い」の奥にある罪悪感の正体と、それを少しずつゆるめていく方法を、できるだけやさしくお話ししていきます。
先にお伝えしておくと、その怖さは、あなたの意志が弱いからでも、心が狭いからでもありません。原因は、もっと根の深いところにある、あなたが知らないうちに受け取ってきた「お金観」と、潜在意識のクセにあります。
お金を使うのが怖いのはなぜ?恐怖を強める3つの将来不安(老後・年金・教育費)
深いお話に入る前に、②の「将来が足りなくなる怖さ」を、少しだけ整理しておきましょう。お金を使うのが怖いという感覚を強めているもののひとつが、この将来不安だからです。そしてこの不安は、多くの場合、次の3つのどれかに行き着きます。
- 老後……いつまで働くことができるのか。働けなくなったあとの暮らしを、何で支えるのか
- 年金……自分が受け取る頃には、どんな形になっているのか
- 教育費……子どもの進路によって、いつ、どれくらい必要になるのか
この3つに共通しているのは、どれもまだ起きていないことで、正解を誰も断言することができないという点です。そして人の心は、輪郭のない正体不明なものを何よもり怖がります。分からないまま頭の中だけでぐるぐる考え続けると、不安はどこまでも大きく膨らんでいくのです。膨らんだ不安は、やがて目の前の数百円まで「使ってはいけないお金」に変えてしまいます。
ですから、数字の見通しを立てる作業には、大きな意味があります。ただ、そこは家計やライフプランの専門家(ファイナンシャルプランナーなど)の得意分野ですので、この記事では手順まで踏み込みません。
そのうえで、正直にお伝えしておきたいことがあります。将来の数字が見えたら、怖さが全部消えるのかというと、そうではないということ。見通しが立っても、貯金が増えても、それでもお金を使うのが怖いままという方は、実際にたくさんいらっしゃいます。だとすれば、残っている怖さは、いったいどこから来ているのでしょうか?
「お金を使うのが怖い」の正体は罪悪感──『使い方』ではなく『あり方』の問題
ここからは、3つの層のうち、もっとも深いところ——③の「使うこと自体への怖さ」を扱っていきます。この層の正体は、さきほどお伝えしたとおり、罪悪感です。
多くの人は、この怖さを「使いすぎたから」「もっと節約すべきなのに」という、使い方の問題だと思っています。だから、家計簿をつけたり、支出を切り詰めたりして、なんとか怖さを抑え込もうとします。
でも、不思議なことに、どれだけ節約しても、怖さも罪悪感も消えません。むしろ「ちゃんと管理できていない自分」を責める材料が増えて、苦しさが増していくことすらあります。
なぜでしょうか?それは、お金を使うのが怖い本当の理由が、お金の使い方ではなく、自分の『あり方』のほうにあるからです。
もう少し具体的に言うと、この怖さは「お金が出ていくこと」そのものに反応しているのではありません。お金を使うという行為が、あなたの心の奥にある「自分は受け取っていい存在なのだろうか」「自分は幸せになっていいのだろうか」という問いを、刺激していることが原因なのです。だから、支払った瞬間に胸がざわつきます。
誤解のないように補足しておくと、節約や家計管理が悪いわけではありません。生活を維持する土台として、とても大切なものです。ですが、罪悪感という感情のおおもとは、数字の管理だけで解決することができません。感情の問題は、感情が生まれた場所までさかのぼらないと、本当の意味では軽くならないからです。
では、その「生まれた場所」とはどこなのでしょうか?

原因の多くは、親から受け継いだ「お金観」にある
お金を使う罪悪感の、最も深いところにあるもの。それは多くの場合、子どもの頃に、親から無意識に受け取った「お金観」にあります。
少し私自身の話をさせてください。今でこそお金に関する活動をしている私ですが、その原点は、決して明るいものではありませんでした。
私がまだ幼かった頃、父がお金のことで、よく母に文句を言ったり、責めたりしていたのです。その光景が、私はとにかく嫌で嫌で仕方なかった。「どうして人は、お金のことで大切な人を責めるんだろう」——その小さな嘆きが、やがて「どうすれば人は、お金のことで争わずにすむのか」という問いに変わり、私の今の活動につながっているのです。
何が言いたいかというと、私がご相談に乗ってきた範囲では、多くの方が、お金についての感じ方を、理屈ではなく、ご両親から受け取って育っているように感じるのです。
- 「お金の話をすると、家の空気が悪くなる」
- 「贅沢をすると、親が悲しい顔をした」
- 「欲しいと言うと、ワガママだと叱られた」
- 「お金は、苦労して我慢して、やっと手にするものだ」
こうした体験を積み重ねた子どもは、大人になっても、お金を気持ちよく使うことに、無意識にブレーキがかかります。お金を使う=悪いこと、楽しむこと=後ろめたいこと、という感じ方が、体に染み込んでいるからです。これが、罪悪感の正体のかなりの部分を占めています。
「親を幸せにしなきゃ」という思い込みが罪悪感を生む
もうひとつ、ご相談に乗っていると、よく出くわす原因があります。それは「自分が親を幸せにしなきゃいけない」という思い込みです。
この思い込みを持ったまま、「うちの親は、なんだか不幸そうだ」と感じていると、心の中ではこういうロジックが、無意識に働いてしまいます。
「自分は親を幸せにできなかった」→「だから自分が悪い」→「だから自分は幸せになってはいけない」

親が満たされていないのに、自分だけが幸せになってしまったら、罪悪感がもっと大きくなる。だから人は、無意識のうちに「自分が幸せになりませんように」「自分らしく生きられませんように」と願うような選択を、してしまうのです。お金を気持ちよく使うことができないのも、そのひとつの表れです。
でも、ここで一度立ち止まって考えてみてほしいのです。そもそも、どうして子どもが、親を幸せにしなければいけないのでしょうか?
親子であっても、ひとりの人間としては別々です。違う価値観で、違う人生を歩んで、まったくかまいません。親には親の人生があり、あなたにはあなたの人生がある。この当たり前のことに「確かに言われてみればそうかも」という気づきを持てたときにはじめて、あなたの人生が、あなただけのものとして動き出すのです。
怖さが意志で消えないのは「潜在意識のブロック」だから
ここまで読んで、「頭では分かるけれど、それでもお金を使うのは怖い」と感じた方も多いかもしれません。それは、ごく自然なことです。
なぜなら、この怖さと罪悪感は、自分でも気づいていない「潜在意識」のレベルで働いているからです。
潜在意識というのは、いわば心の自動運転の部分です。私たちが意識できている領域(顕在意識)はごくわずかで、日々の行動や感情の選択には、潜在意識が大きく関わっていると言われます。そして潜在意識の力はとても強く、顕在意識でいくら「使ってもいいんだよ」と思おうとしても、潜在意識が「いや、ダメダメ!」と抵抗すれば、そちらが勝ってしまうのです。

つまり、お金を使うのが怖いという感覚は、頭(顕在意識)と心(潜在意識)のあいだに起きている、綱引きのようなものだと言えるでしょう。だから、根性や気合いで「気にしないようにしよう」とするほど、かえって苦しくなるのです。これは意志の問題ではないからです。
もうひとつ、知っておくと楽になる視点があります。それは人の心の状態にはいくつもの段階があり、私の実感では、怖さや罪悪感は、その中でもとりわけエネルギーが下がってしまった状態のひとつだと感じています。これを抱えているあいだは、行動するエネルギーそのものが、どうやっても湧きにくいのです。私が日頃、周りの方にお伝えしている『エネルギーの視点』という見方を通すと、「動けない」「前に進めない」と感じるのは、あなたが怠けているからではなく、怖さと罪悪感がエネルギーを奪っているからだと分かるのです。
稼げば稼ぐほど、使うのが怖くなった──「あり方」を変えるしかない理由
「稼げば稼ぐほど、使うのが怖くなった」「たまに自分のために物を買うだけでも、申し訳なくなる」。こうした声を、私はよく耳にします。
「お金がないから不安で怖いに違いない。だったら、たくさん稼げば解決するはず」。昔の私も、そう考えていました。(“稼いでも消えない不安”の正体については『お金の不安が消えない理由』でくわしく書いています。)
でも、これは半分しか当たっていません。実際、収入が増えても、お金を使う怖さが消えないという人はとても多いのです。むしろ、守るべき額が増えたぶん、減ることへの恐れが強くなってしまう。将来の数字が見えても怖さが残るのは、まさにここです。
ここに、大事な真実が隠れているのです。この怖さは、お金の量の問題ではなく、お金との『関係性』——つまりあり方の問題だということなのです。あり方が変わらなければ、いくら稼いでも、怖さと罪悪感はいつまでもつきまといます。
恥ずかしながら、私はこのことを、かなり手痛い形で学びました。「お金は稼ぐものだ」と信じて前のめりになっていた頃、私は株とFXで、1000万円超を溶かしています。お金を追いかければ追いかけるほど、不安と焦りがにじみ出て、お金は私の手から、いとも簡単に逃げていきました。
どん底でお金との向き合い方を根本から変えていくなかで、私はようやく腑に落ちたのです。変えるべきはお金の量や稼ぎ方ではなくて、自分のあり方のほうだった、と。あり方が調うと、不思議なことに、お金を使うときの心のざわつきも、少しずつ解消へと向かっていったのです。
お金を使ったあとに残るのは、心地よさ?それとも、怖さ?
怖さがゆるむ『温かいお金』の使い方
では、自分のあり方をどう調えれば、お金を使う怖さはゆるむのでしょうか?ここで知っておきたいのが、お金には『冷たいお金』と『温かいお金』の2種類がある、という考え方です。
冷たいお金と温かいお金
『冷たいお金』とは、貯金額や収入額、資産額など、数字でしっかりと管理できる、信用から生まれてくるお金です。生活を守る土台であり、安心を支えてくれます。これがあるからこそ、人は新たな挑戦ができるようになります。
一方の『温かいお金』とは、目に見えず、数値化もされないけれど、人と人との信頼から生まれてくるお金です。『信頼残高』とも呼ばれ、これが多い人ほど人間関係に恵まれるのが特徴で、人生における幸福感に大きな影響を及ぼしています。
※2つのお金については『お金モテという『あり方』』でくわしく解説しています。
お金を使うのが怖いという感覚の多くは、お金が「ただ出ていって、消えてなくなる」という実感から生まれてきます。減っていく一方だと感じているから、こわい。だとしたら、その逆の、使うことで、自分のエネルギーが上がる『お金を使った温かい体験』を、少しずつ積み重ねていくことが、何よりの薬になるのです。

判断の基準は、体温が上がるかどうか
とはいえ、いきなり大きな金額を使う必要はまったくありません。むしろ逆です。判断の基準は、たったひとつ、こう自分に問いかけるだけです。
「この使い方をすると、自分のエネルギー(体温)が上がる感じがするでしょうか?」
エネルギーが上がる感じ=体温が上がる感じ。ここにYesと感じる使い方に、優先的にお金を使ってみてください。コンビニのコーヒーを少しだけ質のいいものにする。お世話になった人に、ささやかなお礼を贈る。そんな小さなことでも十分ですので。金額は小さくてかまいません。むしろ、怖さが動かない範囲の金額であることが大事です。
そして、小さく繰り返し続けることにこそ、大きな意味があります。「使ったのに、こわいことは起きなかった」「むしろ、あたたかい気持ちが残った」。この体験が一度きりだと、潜在意識は考えを変えてくれません。ですが、何度も何度も積み重なっていくと、心の自動運転のほうが、少しずつ書き換わっていきます。そのたびに、お金を使うことへの恐れや罪悪感を、少しずつ溶かしていくことができるのです。
これは、支出を『お金の4つの窓』のうち、生活を支えるために消極的に払っている必要経費(D)から、自分の体温が上がる『自己満足(B)』へと、ほんの少しだけシフトさせていく練習でもあります。Bに回すお金は、新しく生み出さなくてかまいません。Dのなかには、「これは削ってはいけない」と親の代から思い込んできた出費が混じっていることがあります。そこを見直したぶんを、Bへ回してみてください。「使わなきゃいけないから使う」ではなくて、「自分のエネルギーが上がるからこそ使う」。この感覚に慣れていくことで、お金を使うことへの怖さを、少しずつ手放していくことができるのです。

「使えない」と「受け取れない」は、表と裏
そしてもうひとつ、見落とされがちな大事なことがあります。それは——お金を気持ちよく使えない人は、お金を気持ちよく受け取ることも苦手なケースがよく見られる、ということです。
なかでも「自分のためだけにお金を使えない」という感覚については、別記事「お金使えない症候群」で、その正体と抜け出し方をくわしくお話ししています。
「お金モテ®」の考え方では、お金の循環を「満たし、調え、与えて、受け取る」という4ステップで考えます。まずは自分を満たし、心と暮らしを調え、その余った分を周りの人たちに与え、その結果、巡ってきたものは素直に受け取る。この4つがぐるぐると回り続けているとき、お金は循環していると言えるのです。
ところが、罪悪感が強い人は、この最後の「受け取る」でつまずきがちです。お金を受け取ろうとすると、「申し訳ない」「もったいない」「自分にはその資格がない」といった気持ちが湧いてきて、受け取りきれない。せっかく与えることができたとしても、受け取らないので、循環がそこで止まってしまうのです。
「使う罪悪感」と「受け取れなさ」は、じつは同じコインの表と裏。どちらも「自分は受け取っていい」という感覚が育っていない、という一点でつながっています。だからこそ、温かく感じられるお金を気持ちよく使う小さな練習が、お金を気持ちよく『受け取る』練習にもつながっていくのです。
受け取り上手な人を思い出してみてください。「ありがとう!うれしいです!」と、素直に受け取ります。あのまっすぐさこそが、お金にも人にも好かれるあり方なのです。罪悪感を手放していくとは、この「ありがとう」と受け取れる自分を、少しずつ取り戻していくことでもあります。

お金を使うのが怖い気持ちをゆるめる4つのステップ
考え方が分かったところで、この怖さ(お金のブロック)を実際にゆるめていく手順を、シンプルにまとめておきます。将来の数字への不安は見通しを立てることで軽くなりますが、その奥に残る怖さは、次の4つで調えていきます。順番に、できそうなものから試してみてください。
- 1.「自分のせいじゃない」と知る……怖さのおおもとは、親から受け継いだお金観と潜在意識のクセにあります。あなたの意志が弱いからではありません。
- 2.「親を幸せにしなきゃ」の思い込みを手放す……親には親の人生、あなたにはあなたの人生。切り分けていいのだと、自分に許可を出してあげましょう。
- 3. 体温が上がる使い方を、小さく重ねる……怖さが動かない少額でいいので「これは自分のエネルギーが上がる」と感じる使い方を繰り返し、恐れを少しずつ溶かしていきましょう。
- 4.「ありがとう」と受け取る練習をする……使うことと受け取ることは表裏一体。素直に受け取ることができる自分を、少しずつ取り戻していきましょう。
それでも、怖さが日常をのみ込んでしまうときは
ここまで、お金を使う怖さをゆるめていく考え方をお伝えしてきました。ですが、もし今、その怖さがあまりにも重く、日々の生活や心の健康にまで影を落としているなら、どうか、ひとりで抱え込まないでください。
たとえば、必要な食事や医療費にまでお金を使うことができない。お金のことが頭から離れず、眠ることができない。そんな状態が続いているなら、それは「あり方」を調える以前に、心と体を休ませることのほうが先です。
幼い頃の家庭の体験が深く関わっている場合、自分ひとりで向き合うのが難しいこともあります。つらさが大きいときは、心療内科やカウンセリングなど、専門家の力を借りることも大切な一歩です。我慢して頑張ることだけが、正解ではありませんので。
まとめ──お金は、あなたのあり方を映す鏡
最後に、要点を振り返っておきましょう。
- 「お金を使うのが怖い」は3層。残高が減る怖さ、将来不安(老後・年金・教育費)、そして使うこと自体への怖さ=罪悪感
- もっとも深い層の正体は、使い方ではなくあり方の問題
- おおもとの多くは、親から受け継いだお金観と「親を幸せにしなきゃ」という思い込み
- この怖さは潜在意識のレベルで働くから、意志では消えない
- 稼ぐほど怖くなるのは、量ではなくお金との関係性の問題だから
- ゆるめる一歩は、「エネルギー(体温)が上がる」お金の使い方を小さく重ねること
- 「使えない」と「受け取れない」は表と裏。「ありがとう」と受け取る練習を
お金を使うのが怖いのは、あなたがダメだから生まれる感覚ではありません。それはむしろ、あなたが誠実で、人やお金を大切にしたいと願ってきた証でもあります。その優しさはそのままに、自分を責める方向から、自分を満たす方向へと、少しずつ向け直していって欲しいなと思います。
私がいつもお伝えしているのは、お金の現実は、自分の『あり方』を映す鏡だ、ということです。お金を使うときに胸が痛むなら、それは「もっと自分を受け取ってあげていいよ」という、鏡からのサインなのかもしれません。かつて1000万円超を溶かした私でも、ありがたいことに独立してからもう10年以上、好きなことを仕事にすることができています。どんな失敗があったとしても、あり方は、いつからでも調えていくことができるのです。
あなたのお金観は、親ゆずりのまま?それとも自分で選んだもの?
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