「おめでとう、すごいね」。そうスマホで打ちながらも、指先が少しだけ重くなる。友達が投稿した内容に、いいねを押すかどうか数秒だけ迷ってしまう。そして、そんな自分に気づいて、また少し嫌になる。そんな経験はありませんか?

昔の私も、そうでした。会社員時代、株とFXで1000万円超を溶かしています。あの頃は、うまくいっている人の話を聞くたびに、自分だけが取り残されていくような感じがしていたものです。

結論を先にお伝えすると、お金持ちの友達に感じる劣等感は、実は相手との「差額」から生まれているのではありません。そうではなく、あなたの中にある「お金をたくさん持っている人ほど価値が高い」という採点基準が発動した結果なのです。

ですので、この記事では、その劣等感が指し示している、あなた自身のお金観に光を当てていきます。SNS対策やお誘いの断り方、関係性の見極めといった現実の場面も後半で扱いますが、それは新調したものさしを実際に使っていく練習の場としてお伝えします。この順番が逆になると、たとえお金持ちの友達と距離を置いたとしても、同じ心のザワザワ感が別の相手にも発動してしまうからです。

この記事でお伝えするのは、次の4つです。

  • お金持ちの友達に劣等感を覚えるとき、その正体はどこにあるのか——差額ではなく、あなたの中の『採点基準』のお話
  • なぜ、遠い富豪のニュースには平気なのに、距離の近い友達の話ではざわつくのか
  • 金銭感覚の合わない誘いを、関係性を壊さずに見送る対処法
  • 距離を置くのか、つきあいを続けるのか——見極めるための3つの問い

ということで、まずは、こんな心当たりがないかどうか、ご自身に聞いてみてください。

  • 友達の話に「すごいね」と返しながらも、頭の中では金額の計算がはじまる
  • 誘いを断るときに、お金がないと思われたくなくて、つい別の理由を探してしまう
  • 友達のSNSを閉じたあと、なぜか妙に疲れている
  • その友達と会ったあと、自分の仕事や暮らしが急に安っぽく見えてくる
  • 妬んでいる自分を見つけて、さらに自分のことが嫌いになる

当てはまるものがあったとしても、それはあなたの心が狭いからでも、性格がゆがんでいるからでもありませんので、どうか安心して読み進めてください。むしろ、今この感覚に気づくことができたなら、ご自身のお金観を見直すきっかけをすでに手にしていると言えるのですから。

まずは、言葉を整理しておきたいと思います。『劣等感』というのは、自分に矢印が向く感覚で、「あの人と比べて、自分は足りない」という自己採点のことです。一方で”嫉妬”は、「持っていかれた」「できれば失ってほしい」といった、矢印が外の相手に向く感情になります。そして「羨ましい」は、まだどちらにも転んでいない素直な反応です。この記事で優先的に扱うのは、1つ目の自己採点としての『劣等感』のほうになります。ここが調うと、残りの2つの感情も自然と落ち着いていくようになります。

私は独立して10年以上、『お金モテ®』というお金の哲学を通じて、たくさんの方のお金の相談と向き合ってきました。その中で見えてきたのは、お金の悩みの相当な部分が、金額そのものではなく「金額で自分を採点する」という無意識の習慣から生まれているということでした。以下、劣等感が指し示している場所と、友達との関係性が変わっていくプロセスを、順に紐解いていきたいと思います。

お金持ちの友達に嫉妬する自分が嫌だ〜劣等感は相手ではなく、あなたの中で起きている

お金持ちの友達に対する劣等感がやっかいなのは、痛みが二重になっているところです。1つ目は、比べてしまったことによる痛み。2つ目は、「人の幸せを素直に喜ぶことのできない自分」を発見したことによる痛みです。

ここで、少しだけ確認しておきたいことがあります。あなたは、世界の大富豪のニュースを見て、夜も眠れないほど落ち込むでしょうか?おそらく、そんなことはないはずです。何兆円や何千億円といった資産のお話は、あまりにも遠すぎて自分と同じ土俵に乗ってこないからです。ところが、同じ大学を出た同級生や、同じ職場にいた同期が豪華な家や高級車を買ったと聞くと、心がざわつきます。つまり、劣等感のスイッチを押しているのは金額の大きさではなく、「自分と同じ土俵にいる」という距離感のほうなのです。

ということは、点数をつけているのは相手ではありません。相手は、ただ自分の人生を生きて、その報告をしているだけです。友達の年収も資産額も、相手側の事実であって、あなたを傷つけるために存在しているわけではありません。とはいえ、じゃあ、そのザワザワをスルーしましょう、我慢しましょう、という話でもありません。ざわついた感覚そのものは本物ですし、無理に打ち消す必要もありません。

お金モテ®の勉強会では、悲しみ・恐れ・怒りなどの感情には、それぞれ果たすべき役割があるとお伝えしています。感情は敵ではなく、自分の状態を知らせてくれるシグナルの役割を果たしてくれているからです。ところが、悲しみや恐れを表に出すことを幼い頃から止められてきた方ほど、その感情が別の形に姿を変えて出てくることがあります。劣等感も、そのひとつ。「本当は悲しい」「本当は怖い」が言葉にならないまま、他人との比較という形をとって表面に出てきているケースが少なくありません。

だからこそ、劣等感を「消すべきもの」として扱わないほうが良いと私は考えています。消そうとすると、その奥にある本音までも一緒に押し込めてしまうからです。ですので、まずは、「あ、今、劣等感のスイッチが入ったな」と気づくだけで十分だと言えます。

モヤモヤの正体は「お金=自分の価値」という採点基準〜自己肯定感がお金に紐づくとき

では、そのスイッチの正体は何なのでしょうか?私は、誰の中にも存在する「人の価値の測り方」、つまり採点基準だと考えています。この採点基準こそが、私たちが人を眺めるときに手にしているものさしなのです。

採点基準は、生まれつき備わっているものではありません。子どもの頃から少しずつ書き込まれてきたもの。「テストで良い点を取った子はえらい」「速く走ることのできる子はすごい」。そうやって順位で測られる経験を重ねるうちに、私たちは「人には点数がつく」ということを当たり前のこととして受け入れていきます。そして大人になると、順位を決めるものが学校の成績から収入や資産額へと入れ替わる。これが、「お金=自分の価値」という採点基準の成り立ちです。

お金がこの役を引き受けやすいのには、ハッキリとした理由があります。それは、数字だからです。優しさや誠実さ、面白さには分かりやすいものさしがないので、順位をつけることが難しい。ところが年収や資産額は、ひと目で大小を比べることができてしまう。比較したい心にとって、これほど扱いやすい素材はないと言えるでしょう。

心理学からの知見も裏付けとして添えておきます。レオン・フェスティンガーが1954年に提唱した『社会的比較理論』によると、人は自分を評価するための客観的な基準が手元にないとき、他人と比べることで自分の位置を確かめようとするそうです。しかも、比較の相手として選ばれるのは誰でも良いわけではなく、自分と条件の近い人が選ばれやすいとされています。先ほどお伝えした「遠い富豪のニュースには平気なのに、同級生が家や車を買った話にはざわつく」という現象は、まさにこれです。さらに、自分より上に見える相手と比べること(上方比較)は、憧れや意欲につながることもあれば、そのまま自己評価を下げる方向へと働くこともあります。つまり、近さが比較を呼び、その上方比較が引き金となって、あなたの中に眠っていた「お金=自分の価値」という採点基準が作動していると考えられるのです。

では、このものさしを握り締めたまま生きていると、一体何が起きるのでしょうか?まずは、自己肯定感が、銀行口座残高と連動しはじめます。数字が増えた月は自分が立派になった気がして、減った月は人としてダメになった気がする。値動きの激しいものを自分の価値を測るものさしにしている状態ですので、心の休まる日がありません。

昔の私が、まさにそうでした。早く会社を辞めたいという焦りから投資セミナーや必勝法にお金を注ぎ込み、株とFXで1000万円超を溶かしています。当時の私にとって、証券口座の評価額は資産ではなく、自分自身の通信簿そのものでした。だから残高が増えれば凄い人になった気になり、減れば人格まで否定された気がして、その痛みを取り返そうと、また次の必勝法へ手を伸ばす悪循環にどっぷりとはまっていたのです。今、振り返ってみると、当時の私が失っていたのは、お金に加え、「自分は自分のままでいいんだ」という自己肯定感そのものだったと言えるでしょう。

ここで、全く別のものさしをひとつご紹介します。お金モテ®では、目には見えないけれど確実に存在する目に見えない貯金、いわゆる『信頼残高』を、こんな式で捉えています。

信頼残高=与えた価値 − 受け取ったお金

大切なのは、それぞれが何を指しているのかという点です。「与えた価値」は、金額で測れるものだけだとは限りません。相手が喜んでくださったことや助かったことなど、その全部が入ります。一方、「受け取ったお金」は、その価値の対価として自分が実際に受け取った金額のことです。たくさんの価値を世の中に与えて、対価として受け取った金額のほうが控えめであるほど、その差額が『信頼残高』として貯まっていく、という考え方です。

この数式で眺めてみると、面白いことに気づきます。目に見える金額の多さは、それだけでは人の価値を表していない、ということなのです。むしろ、与えた価値に対して対価を受け取りすぎている状態では、数字が大きくなるほど『信頼残高』は目減りしていくことになります。

お金持ちの友達を前にして心がざわつくとき、あなたが見ているのは、この式にある「受け取ったお金」だけです。左側の「与えた価値」は、外側からは見えません。そして何より、あなた自身が今日まで誰かに与えてきた価値も、金額として計上されていないだけで、確かに存在しているのです。

そこで、オススメしたい小さな習慣があります。モヤっとした瞬間に、「今、自分は何を採点したのだろう?」と問いかけてみること。答えは、結構、具体的に出てきます。年収、資産額、住んでいる場所や家、乗っている車、旅行の頻度、子どもの学校、などなど。書き出してみると、自分がどの項目で他人を測るクセを持っているのかが見えてきますので、一度やってみることをオススメします。

お金持ちの友達に感じる劣等感は相手との差額から生まれるのではなく、距離の近さが上方比較を呼び、自分の中の「お金=自分の価値」という採点基準が発動した結果である。

冷たいお金と温かいお金〜友達との関係性を分けているのは、どちらのものさしで見ているか

採点基準のお話をもう一歩進めるために、お金モテ®の中心にあるお金の見方をお伝えします。お金には、性質の違う2つの種類があるという考え方です。

ひとつは『冷たいお金』。「信用」から生まれる、数字で管理することのできるお金です。家賃、貯金、給与、資産額などなど。銀行口座残高のように目に見える形になっていて、生活を守ってくれる『土台』であり、安心の源です。これがあるからこそ、次の一歩に挑戦することができます。

もうひとつが『温かいお金』。こちらは「信頼」から生まれる、目に見えず数値化もされない非言語のお金で、『信頼残高』と呼んでいるものです。誰かに喜ばれ、感謝が積み重なった結果として、人を通じてめぐってくるお金。『信頼残高』の厚い方ほど人間関係に恵まれ、喜ばれ感謝されながら好きな仕事をしています。2つのお金は、どちらが偉いという話ではなく、お金の裏表として、両輪でお互いを支え合っているのです。

つまり、友達との関係性をこじらせるのは、冷たいお金そのものではありません。冷たいお金”だけ”で人を測ってしまうこと、そこが問題なのです。分かりやすく、ビフォーアフターとして並べてみましょう。

ビフォー:冷たいお金”だけ”で測っているときのつきあい方

  • 会うたびに、相手の年収や資産額のほうが気になってしまう
  • 奢ってもらうと、借りができた気がして落ち着かない
  • 相手が成功した話を、自分の減点材料として受け取ってしまう
  • 自分の話をするとき、無意識に見栄が混ざる
  • 「この関係性は自分に得かどうか」といった打算がよく顔を覗かせる

そうなると、温かいはずの友情が、合理的なニュアンスの漂う”取引”に近づいていきます。数字というものさししか手元にないと、目の前の相手を数字として処理しようとしてしまいがちに。けれども、取引相手の前では、人は心の底からくつろぐことはできないのです。

アフター:温かいお金も一緒に見ているときのつきあい方

  • 相手が何に喜んでいて、何に困っているのかのほうを見ている
  • 奢ってもらったら気持ちよく受け取り、「ありがとう」を素直に返す
  • 相手の成功を、自分ごととして喜ぶことができる
  • できないことを、できないと素直に言うことができる
  • 自分にできることを、金銭以外の部分から探し出すことができる

違いは、相手ではなく、こちら側のものさしです。同じ友達、同じランチ、同じ会話であったとしても、どちらのつきあい方をしているのかによって、後に残るものがガラリと変わるでしょう。

特にお伝えしておきたいのが、「奢ってもらう」場面。お金モテ®には、満たす、調える、与える、受け取る、という4つのステップがあるとお伝えしています。そのなかでも、多くの方が躓くのが最後の「受け取る」場面。「悪いよ、自分の分は自分で支払うから」と反射的に押し返してしまう方が少なくありません。もちろん、そのお気持ちはよく理解できるのですが、これは相手が差し出してくださった好意を突き返す行為でもあります。

ここで、先ほどの式と矛盾するのでは、とお感じの方がいらっしゃるかもしれません。受け取るほど『信頼残高』が目減りするのなら、奢られることは遠慮したほうが良いのではないか、と。ですが、奢りは取引代金や対価ではなく、相手からのご好意です。つまり温かいお金の側で起きている出来事なのです。しかも、こちらがご好意を受け取ってはじめて、相手の『信頼残高』が増えます。それを押し返す行為は、相手が積もうとしていた『信頼残高』ごと突き返すことでもあるのです。

では、どうすれば良いのでしょうか?そういうときは「ありがとう、ごちそうさま。今度は私に出させてね」や「じゃあ次は、私の好きなあのお店に案内するね」といったかたちでお返しすればいいのです。大事なことは金額で返そうとしないことにあります。美味しそうに食べること、食事のときの会話を楽しむこと、後日「あのお店、本当に良かったよ、ごちそうさま」と伝えること。どれも金額には換算できませんが、確実にお互いの信頼関係を深めてくれることでしょう。

お金モテ®でいう「モテる」とは、『あり方』を調えた結果として人が集まり、人を通じてお金がめぐってくる状態のことを指します。金額を追いかけて稼ごうとすることではありません。そして人が集まるかどうかを分けているのは、収入や資産額ではなく、この受け取り方や返し方のほうなのです。

2つのお金(温/冷)

実家が太い友達が羨ましい〜努力ではどうにもならない差に劣等感を覚えるとき

ここまで読んで、「うちの場合、そもそもスタート地点が違うのです」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。自力で稼いだ友達であれば、まだ「自分も頑張れば」と思うことができます。ところが、学費も住まいも親が用意し、社会に出た時点で数千万円やときに億単位の資金を手にしている友達を前にすると、その逃げ道すらなくなってしまいます。”親ガチャ”という言葉が広まったのも、この痛みを感じていた方が、それだけ多かったからなのでしょう。

ですが、ここで起きていることも、やはり同じだと私は考えています。この痛みは差額ではなく、「スタート地点の違い」という、自力では動かすことのできない前提で自分を採点してしまっていることに起因しているからです。しかも実家から受け継いだ『冷たいお金』は、その家が長い時間をかけて積んできた「信用」の結果であって、友達本人の点数ですらないのです。

生まれた家を選ぶことはできませんが、どのものさしで自分を採点するのかは、自らの意志で選ぶことができます。そして『信頼残高』のほうは、生まれた家とはまったく関係なく、ひとりの人間として積んでいくことができるのです。目の前の人に喜ばれたり感謝された経験は、銀行口座とは全く別のところに貯まっていきます。私自身、株とFXで1000万円超を溶かし、資産の面ではゼロからやり直しています。それでも独立して10年以上、事業を続けることができているのは、冷たいお金の数字だけではなく、もうひとつの目に見えない温かいお金も意識することができたからだと実感しています。

あなたのものさしは、受け継いだ数字?それとも積んだ信頼?

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SNSで友達が羨ましい……格差感を増幅させるタイムラインと、自分側の条件の調え方

ここからは、調え直したものさしを、現実の場面で実際に使っていきましょう。まずはSNS。お伝えするのは相手との距離を操作するテクニックではなく、ご自身の”採点スイッチ”が入りやすい条件を、自分の側で調えていくお話です。

昔であれば、友達の暮らしぶりを知る機会は年に数回程度でした。でも今は、スマホ片手に指を動かすだけで、一日に何十回でも比較することができてしまいます。

ここで思い出しておきたいのは、タイムラインに並んでいるのが結果だけだということ。新しい家、海外旅行の素敵な景色、記念日のホテルディナー。そこには、そこへ至るまでの迷いも、失敗の回数も、住宅ローンの残高も、家族との衝突も一切映りません。編集された誰かのハイライトと、編集されていない自分の日常を並べているのですから、格差感が実物よりも大きく見えるのは当たり前なのです。

さらに、仕組みの問題もあります。多くのSNSは、反応した投稿に近いものを優先して見せてきます。羨ましくて何度も開いてしまった投稿ほど、また表示されやすくなるということ。落ち込みたくないのに落ち込む材料が集まってくるのは、あなたの意志が弱いからではなく、そういう仕組みだからなのです。

そこで、今日から試すことのできる3つの調整法をお伝えします。

  • 心がざわつく相手は、フォローを外すのではなくミュートにしてみましょう。関係性を切らずに、自分の採点スイッチが発動する回数を減らすことができますので。
  • まずは3日間だけ、寝る直前と起きた直後のSNSはやめましょう。特に寝室にはスマホを持ち込まないことが効果的ですのでオススメします。
  • SNSを開く前に、「今、自分は何を確かめようとしているのか?」と一度だけ聞くようにしてみましょう。

あわせてオススメしたいのが、寝る前に「今日一日よかったこと」を3つ書き出す習慣です。他人の投稿には、その日あなたが感じた小さな心地よさや小さな幸せの瞬間は1つも載っていません。だからこそ、自分で思い出し記録することが効果的なのです。他人の基準が入り込む余地のない場所で、自分にとっての一日を採点し直すこと。この積み重ねが、お金以外のものさしを育ててくれるのです。

相手が何を投稿するのかは、こちら側はノーコントロールです。変えることができるのは、いつ、どれくらい、どんな状態でSNSを見るのかという、自分自身のほうなのです。

金銭感覚の合わない誘いをどう断る?〜関係性を壊さない「今回はパス」の伝え方

劣等感が現実の痛みに変わるのは、多くのケースでお会計の場面です。当たり前のように予約された高いお店、恒例になっている旅行、プレゼントの相場。断りたいけれど、断ると「お金がない人」と見られる気がして言い出しにくい。この苦しさの中身も、やはり例の採点基準です。「お金がない」が「価値がない」と同じ意味に聞こえてしまうから、正直に言うことができないのです。

ですので、ここでご紹介するのも言い回し集ではなく、自分の中に新しく設けた基準を、そのまま言葉にするための練習です。まずは基準のほうをはっきりさせておきましょう。私がよくお伝えしているのが、支出を『4つの窓』に分ける方法です。紙に十字を1つ描いて、横のラインに「消費⇔投資」、縦のラインに「エネルギー(価値)の高い⇔低い」を書きます。

  • A:『自己投資』(投資×エネルギー高)=自分の未来の可能性と『あり方』を育てるために使うお金。学び、健康、出会いのための参加費など。
  • B:『自己満足』(消費×エネルギー高)=自分の体温が上がる、心地よい消費。行きつけの喫茶店で頼む1杯、玄関に飾る季節の花、友人の誕生日に選ぶ小さな贈り物など。
  • C:”事故投資(投資×エネルギー低)=自分を伸ばすつもりで支払ったのに、何の結果にもつながらず、支払ったお金だけが溶けてしまった出費。私が溶かした株とFXの1000万円超は、まさにここです。
  • D:”必要経費”(消費×エネルギー低)=暮らしを回すために、消極的に支払っている出費。家賃、光熱費、義理だけでつきあう集まりへの参加費など。

ここで注目していただきたいのが、Dの”必要経費”です。仕方なく支払うものだと決めつけているだけで、実は手放すことのできる支出が混ざっているケースがよくあります。もう使っていないサブスク、惰性で支払い続けている固定費、「行かないと気まずいから」という理由だけで参加している集まりへの参加費など。金銭感覚の合わない誘いは、この最後に該当するケースが少なくありません。

そして実践の核は、Dを見直して浮いたぶんを、Bの『自己満足』へシフトさせることにあります。義理で支払っていた1万円を手放し、そのお金で自分の体温が上がるものに使ってあげること。判断の軸はこの1つだけでOKです。「この使い方は、自分の体温(エネルギー)が上がる感じがするのかどうか」。金額は小さくて構いません。小さく何度も繰り返すうちに、自分のためにお金を使うことへの恐れが少しずつやわらいでいきますので。

このお金の使い方を理解したら、次は断り方です。大事なのは、嘘の理由を作らないことです。嘘をつくと後ろめたさが残り、次の誘いはもっと断りにくくなるからです。実際の言い方としては、こんな形がオススメです。

  • 「今回はパス。でも、次はあのお店に一緒に行こうよ」=断りと次の約束をセットにする
  • 「今月は◯◯にお金を使うと決めているから、今回は見送るね」=主語を、自分が決めたことに置く
  • 「その日は行けないけど、よかったら写真を送ってね」=関心はあると伝える

「お金がなくて」ではなく、「今はここに使うと決めているので」。この違いは小さく見えて、実はとても大きいものです。前者は自分の価値の低さを申告する言い方になりますが、後者は自分の基準や判断を伝える言い方だからです。

そしてもうひとつ、相手との関係性によっては、金額をそのまま口に出す伝え方も有効です。たとえば、「そのお店はいまの自分の予算だと厳しいから、お茶だけ一緒にどう?」。①「予算」という言葉で率直に線を引く、②そのうえで代替案——お茶だけ、次の機会、時間だけ合わせる——を自分から出す。この2段構えです。

率直に言うことができるようになると、誘われるたびに言い訳を探す、あの消耗が消えていきます。しかも相手の側も、金額を気にせず気軽に誘うことができるようになるのです。ぜひ、相手と関係性によって使い分けていただけたらと思います。

とはいえ、正直に伝えたとしても機嫌を損ねる相手はいることでしょう。そうだとしても、相手の反応は相手側の課題であって、こちら側の力で解決することはできません。そこは「それは相手の課題で、自分の課題ではない」としっかりと区別しておきましょう。

4つの窓

会うたびに惨めになるなら〜距離を置く?続ける?その友情を見極める3つの問い

ここまで読んで、「それでも、この関係性はもう続けないほうが良いのかもしれない」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。そこで、判断の助けになる問いを、3つ挙げてみたいと思います。どれも、相手を採点するための問いではありません。あくまでも自分の側、つまり今の自分の状態を確かめるための問いになります。

問い1:その人といるとき、口数が減ってはいませんか?

会話が相槌と称賛だけになっていて、自分の話をほとんどしていない。そんな状態が続いているのなら、対等な関係性からズレはじめているサインかもしれません。ただし、原因が相手のマウントにあるとは限りません。自分の側が「話しても勝ち目がない」と先回りして口を閉じている場合も、よくあることだからです。

問い2:会ったあと、自分の暮らしを愛することができていますか?

会った後の帰り道に、自分の部屋や仕事が急にみじめに見えてきてはいませんか?それとも、「明日もやってみよう」という前向きな気持ちが少しは湧いてくるでしょうか?良い関係性は、必ずしも心地よさだけを残すわけではありませんが、自分の人生を嫌いにさせる方向には向かわないものです。

問い3:お金の話を抜きにしたら、その人と何を話したいですか?

これが、最も重要な問いかもしれません。お金にまつわる話題を全部取り払ったとき、その人と話したいことが3つ以上出てくるのなら、その友情は本物でしょう。逆に何も浮かんでこないのなら、あなたが好きだったのは、その人そのものではない可能性がありそうです。

補足:羨ましく見えるその友達も、じつは気を使っているかもしれません

見極める前に、もう1つだけ視点を補足しておきます。収入や資産が増えていくと、その話題を口に出しにくくなる、という側面があります。自慢と受け取られる、頼られ方が変わる、値踏みされやすくなる。そうした経験を重ねた方ほど、本音を話すことのできる相手が減っていくものです。あなたが見上げている相手も、実はこちらの表情をうかがいながら言葉を選び、どこか孤独を抱えている可能性もあります。相手を「お金持ち」という属性から、一人の人間へ戻して見つめ直してみること。見極めは、そこからはじめることをオススメします。

結果として距離を置くことにしたとしても、それは「相手が悪い人だから」ではありません。「今の自分の採点基準では、自分らしい状態で会うことができないから」です。ですから、これは永久追放ではなく、一時的な距離の取り方の調整だと考えてみるといいでしょう。そして、自分の中の基準が変わったときに、また会えば良いのですから。

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比べる相手から『情報源』へ〜お金持ちの友達を、学びの相手として見る

「羨ましいな」と感じた相手は、裏を返せば、あなたが望んでいる景色を先に見ている人でもあります。そこで、ものさしを調え直していく途中でオススメしたいのが、その友達の見え方を「比べる相手」から『情報源』へ読み替えてみることです。

読み替えると、何が変わるのでしょうか?変わるのは相手ではなく、こちら側の耳のほうです。上下で測りながら聞いている間は、相手の話は自分の点数を決める”判定材料”として入ってきます。ところが情報源として聞くようになると、同じ話が、明日から試すことのできる具体的なアイデアとして入ってくるようになります。同じランチ、同じ雑談なのに、持ち帰るものがまるで違ってくるのです。

では、実際に何を聞けばいいのでしょうか?金額の話を聞き出す必要はありません。むしろ、金額よりも「判断」のほうに重要なヒントがあることが多いと言えます。

  • お金の使い道の判断基準——「どういうときに、これはお金を支払う価値があると判断しているの?」。金額の大小ではなく、その方が何を基準に線を引いているのかが見えてきます。
  • 失敗した買い物——「これまででもっとも後悔している買い物って何だった?」と聞いてみましょう。成功談よりも失敗談のほうが気楽に話しやすい話題ですので。
  • 時間の使い方——「1日のうち、何に時間を使うと決めているの?」。お金の使い方と時間の使い方は、密接に関係しているからです。

誤解のないように補足すると、これは相手を情報の自動販売機のように扱いましょう、というお話ではありません。ここで思い出したいのが、先ほどの『信頼残高=与えた価値 − 受け取ったお金』という考え方です。できれば、聞く前に、自分から先に与えることができるものを1つ差し出してみましょう。相手が困っていることに関する情報でも、知り合いの紹介でも構いません。

そして、教えていただいたことを実際に試して、その結果を後日報告すること。これも立派な”与える”になります。自分の話が誰かの行動を促したと知って、嬉しくない方はいないからです。先に与え、受け取り、また与える。この循環がはじまった時点で、上下の関係は自然と消えていくのです。

「羨ましい」を、その日のうちに小さな行動へ変える

嫉妬や羨ましさは、消すべき感情ではなく、あなたが本当に欲しいものの在りかを知らせてくれる合図です。せっかくですから、精神論で終わらせずに、次の一歩のためのエネルギー源として使ってしまいましょう。『あり方』としては、「これは自分の願いを教えてくれたシグナルだ」と受け取ること。そのうえで、その日のうちに、次の3つのうち1つだけやってみることをオススメします。

  1. 羨ましいと感じた中身を、具体的に書き出す。「あの家が羨ましい」で止めず、「家族が自然と集まる広いリビングが羨ましい」「朝の光が入る景色のいい部屋で仕事できることが羨ましい」くらいにまで分解します。ここまで具体的にすると、それを実現するために、何をどうすればいいのかが見えてきますので。
  2. その友達に、質問をひとつ送る。先ほどの3つのどれでも構いません。返事が来るかどうかは横に一旦置いて、「聞くことができた」という事実のほうが大事です。上下で測る状態から、自分の意志で降りた証拠になりますので。
  3. 『4つの窓』で支出を見直して、自分のためのお金の使い方をする。直近の明細から1件だけ選び、それがA〜Dのどこに入るのかを確かめます。そのなかで”必要経費”のDに入っていて、しかも体温の上がらない支出だったなら、それをやめて、浮いたぶんをBの『自己満足』へと回してみましょう。金額は数百円でも構いませんので。

比較は、そこで止まってしまうと劣等感になりますが、小さな行動へつながった瞬間に、前へ進むための原動力へと姿を変えてくれるのです。

上下で測らなくなったとき、お金持ちの友達は「比べる相手」ではなくなる

何より大きな変化は、相手の話が「情報」として入ってくるようになることです。上下で測っている間、私たちは相手の話を聞いているようで、実は自分を採点していることが多いでしょう。すると相手のお話が頭に残りません。ところが採点するのをやめた瞬間、同じ話の中に、具体的な行動や考え方のヒントがたくさん含まれていたことに気づけるのです。

すると、質問できるようになります。「それ、どうやったの?」と。上下で測っているうちは、この質問が「負けを認める行為」に感じられて、どうしても口から出てきません。でも、測ることから降りてしまえば、ただの好奇心に変わります。お金持ちの友達というのは、あなたが望む理想の世界を経験している人でもありますので、これほど身近な情報源はいないと言えるでしょう。

誤解のないように補足すると、これは「劣等感を感じなくなる」というお話ではありません。長い間使い続けてきた採点基準が、一晩で消えることはないからです。私自身も、今でもざわつくことはあります。ただ、違うのは、ざわついたあとの行き先なのです。昔は自分を責めたり、ダメ出しする方向へと向かっていたものが、今は「あ、また採点したね。それで、自分が本当に欲しいのは何だろう?」という問いへと向かうようになったのです。

この変化を支えてくれるのが、他人と比べようのない領域で小さな成功体験を積むことです。自信というのは、何かに打ち込み、失敗から学び、小さな成功体験を重ねる、というプロセスを経て育っていくものです。3日続けて朝の散歩をした、気になっていた場所を掃除した、読みかけの本を最後まで読んだ。確かにどれもお金にはなりませんが、「自分は自分との約束を守ることができた」という感覚が積み上がっていきます。これが、お金以外のものさしの正体なのです。

あわせて効果的なのが、先ほどのお金の使い方の「D必要経費→B自己満足のシフト」。他人の基準ではなく自分の体温でお金を使った回数が増えるほど、人を見るときにも同じものさしを使うことができるようになります。そのとき、相手はもう比べる対象ではなく、一緒に生きている一人の人間に戻っているのです。

お金持ちの友達とのつきあい方〜よくあるお悩みにお答えします

Q1. しんどいので、会うのをやめてもよいのでしょうか?

やめて構いません。ただ、「嫌いになったから」ではなく「今の自分の採点基準では、まだ自分らしく会うことができないから」という理由で選んでみることをオススメします。前者は関係性を終わらせる判断ですが、後者は一時的な調整です。連絡を絶つ必要もなく、お誘いを何回か見送るだけでも十分です。その後、自分のものさしが変わったころに、また会えばいいのですから。

Q2. 友達を妬んでしまう自分は、最低な人間なのでしょうか?

いいえ。嫉妬が湧くのは、相手が自分と同じ土俵にいて、あなたがその方の状態を本当は望んでいるからです。つまり嫉妬は、あなたの願いがある場所を教えてくれるシグナルでもあります。ご自身を責める代わりに、「じゃあ、自分は本当は何が欲しいのだろう?」と聞いてみましょう。すると妬みは、その時点で、役目を終えますので。

Q3. 奢られてばかりで惨めです。どう返せばよいのでしょうか?

金額で返そうとすると惨めになりますのでオススメしません。奢りは対価や取引ではなく好意そのものですから、返すのも好意で構いません。美味しそうに食べる、その場の会話を心から楽しむ、後日「あのお店、本当に良かったです。ありがとう!」と伝える。そのうえで「次は私の好きな〇〇に案内するね」と、自分の得意な場所へ誘ってみましょう。

おわりに

劣等感は、敵ではありません。それは、自分が長いあいだ握りしめてきた採点基準を教えてくれるシグナルです。誰かの持ち物に心がザワザワしたということは、あなたの中に「お金の額で人を測るものさし」が今も生きているということを意味します。見つけることができたのなら、それを書き換えることもできるのです。

「どれだけお金を持っているか」から、「どんなエネルギーで関わっているか」へ。そんな風にものさしがシフトした瞬間に、同じ友達との同じ時間が、まったく違った温度感で流れはじめます。奢られた食事は借りではなく好意になり、相手の成功は自分の減点ではなく歓迎すべき情報源になる。相手は何ひとつ変わっていないのに、です。

お金は、あなたの『あり方』を映す鏡だと言えます。友達との関係性に映っていたのは、相手の資産額ではなく、あなた自身のお金観のほうでした。私が独立して10年以上この仕事を続けることができているのも、大きな数字を作ったからではなく、目の前の方との『信頼残高』を少しずつ積み上げてきたからだと実感しています。

ぜひ今日から、心がざわついた瞬間に「今、自分は何を採点したのだろう?」と聞いてみてください。そして今週のうちに一度だけ、ご自身の体温の上がる小さなお金の使い方を選んでみてください。そこに劣等感を上手に使いこなすヒントが隠れていますので。

あなたにとってお金は、誰かと比べるための「点数」ですか?
それとも、人とつながるための『エネルギー源』ですか?

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ともたけ@お金モテ®の人
お金モテ®︎の人|お金にモテるって、面白い。|東大→JR九州→MBA→(株)with my style代表|株とFXで1000万円溶かす→お金との向き合い方を変えて再起→メルマガ売上8桁→被災地へ仲間と211万円寄付|法人10期目|オンラインサロン10年運営|競馬・ホテルステイ・読書・クレカ・マイル・BTC好き|オーストラリア馬主
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