「せっかくボーナスが入ったはずなのに、数か月も経つと、なぜか残高は元どおり——。」

そんな狐につままれたような感覚に、覚えはないでしょうか?宝くじでもないのに臨時のお金が入ってきた。少しうれしい。けれど気づけば、財布の中も口座の残高も、なぜかいつもの水準に戻っている。まるで見えないところに「ここまで」という線が引かれているみたいに。

この見えない線のことを、世間ではよく「お金の器」と呼びます。自分がストレスなく受け取れて、手元に留めておける金額の、心理的な上限のことですね。器より多くのお金が入ってくると、人は無意識のうちに、使うか・失うか・断るかして、いつもの水準まで水位を戻してしまうのです。

はじめに、結論をお伝えしておきます。けっして、あなたの自制心が足りないせいで起きているのではありません。どうか安心して、読み進めてください。じつは自分自身、独立を焦るあまり株やFXにのめり込み、1,000万円を超える額を一度に溶かした経験があります。あのころの自分は、器を大きくしようと必死でお金を追いかけていました。でも、追いかければ追いかけるほど、器はふくらむどころか、むしろ固く閉じていくばかりだったのです。

この記事では、独立して10年以上、お金にまつわる活動を続けてきたなかで見えてきた『お金モテ®』という視点から、定番の「器の広げ方」がなぜ表面で終わってしまうのかを解体しつつ、器を「あり方の広さ」として捉え直していきます。読み終わる頃には、器は大きくするものではなく、じつは『思い出す』ものなのだ、という景色が見えているはずですので、どうぞ気楽にお読みいただけたらと思います。

「お金の器」とは何か〜受け取れる金額の心理的上限と、器の大きさを決める無意識のセルフイメージ

まずは、言葉の輪郭をハッキリさせておきたいと思います。「お金の器」とは、あなたが罪悪感や不安なしに受け取り、手元に留めておける金額の、心理的な上限のことです。コップの大きさを想像していただくと、わかりやすいでしょう。どれだけ水を注いでも、コップの縁を超えたぶんは、あふれて流れ出てしまいますよね。お金もこれとよく似ていて、器を超えた金額は、なぜか手元に留まってくれないのです。

では、この器の大きさは、いったい何が決めているのか?答えは、収入でも学歴でも才能でもありません。おおもとにあるのは、「自分はこのくらいの人間だ」という、無意識のセルフイメージです。

たとえば、心のどこかで「自分は贅沢をしてはいけない人間だ」と感じている方は、たとえ大きな臨時収入が入っても、それを受け取りきれずに落ち着かなくなります。「こんなにもらっていいのだろうか」という居心地の悪さが先に立ち、無意識のうちに、いつもの水準まで水位を戻してしまう。理由は、いま受け取れる金額が、そのままセルフイメージの大きさと連動しているからです。

とはいえ、誤解のないように補足しておきます。器が小さいこと自体は、決して悪いことでも恥ずかしいことでもありません。それは、これまでのあなたが生きのびるために身につけてきた、大切な『守りの設計』でもあるのです。まずはそこを責めないところから、この話をはじめていきたいと思います。

あなたの器を知る〜臨時収入が消える5つのサインと、お金の温度×受け取り方の4タイプ診断

では、自分の器がいまどのくらいの大きさなのか、どうすれば見当がつくのか?残高の数字を眺めても、器の大きさはつかめないのです。器は、お金と向き合ったときの”心のざわつき方”に、いちばん素直に表れるからです。

次の5つのうち、思い当たるものがいくつあるか、ご自身に聞いてみてください。これは自分を裁くためのチェックではなく、いまの器をやさしく知るための鏡だと思っていただけたらと思います。

  • 臨時収入が入ると、気づいたときには使い切っていて、残高がいつもの水準に戻っている。
  • 少し高価な買い物をすると「自分には不相応かも」と落ち着かず、心から楽しめない。
  • 人に奢られたり褒められたりすると居心地が悪く、すぐにお返しをして”貸し借りゼロ”にしたくなる。
  • 値札を見る前に「どうせ自分には無理」と諦めて、選択肢からはなから外している。
  • まとまったお金が入ると、うれしさより「これを失ったらどうしよう」という不安のほうが大きくなる。

いかがでしたか?3つ以上に心当たりがあった方は、器の縁がやや低めになっている状態かもしれません。でも、ここでガッカリする必要は、まったくないのです。とりわけ最後の「受け取ると不安が勝つ」というサインは、お金の巡りが詰まりやすい方に、いちばん多く見られる、始まりの合図だからです。

お金モテ®では、お金は『満たす→調える→与える→受け取る』の4ステップでぐるぐると巡る、と考えます。じつは、この巡りが止まる場所は、多くの方が思っている「与える」ではなく、最後の「受け取る」なのです。受け取り下手な人ほど、入ってきたお金を無意識に押し返してしまい、器の水位がいつまでも上がっていかない。これが、臨時収入がなぜか消えていく、その仕組みの正体です。

ここからもう一歩踏み込んで、いまのあなたの器を立体的に知るための『ものさし』をご紹介します。使うのは、2本の軸です。

1本目の横軸は、お金の温度です。じつは一枚のコインに裏と表があるように、お金にも温度の違う2つの面が『裏表』で備わっています。片方が『冷たいお金』。これは「信用」から生まれる、家賃・貯金・資産額といった、数字で管理できるお金のこと。生活を守る『土台』であり、安心の源です。もう片方が、『温かいお金』。こちらは「信頼」を土台に生まれるお金で、その正体は『信頼残高』です。数字には決して表れない、非言語のお金なのですね。この『信頼残高』を厚く育てている方のまわりには、あたたかい人間関係が集まり、喜ばれ感謝されながら好きな仕事を続けていける、という循環が生まれます。そういう種類のお金です。

2本目の縦軸は、受け取り方。差し出されたお金や好意を、素直に「ありがとう」と受け取れるか、それとも居心地悪く押し返してしまうか、という軸です。この2軸を掛け合わせると、器のあり方は4つのタイプに分かれます。

  • 【守りの金庫番型】(冷たい寄り×受け取り下手)──数字は守れるけれど、好意も臨時収入も受け取れず、器の水位が上がらない。「どうせ自分には」が口ぐせになりやすいタイプ。
  • 【数字ハンター型】(冷たい寄り×受け取り上手)──冷たいお金を増やすのは得意。でも『信頼残高』が薄いため、稼いでも満たされにくく、器が”広いのに冷える”タイプ。昔の自分が本気で目指していたのが、この姿でした(もっとも当時は受け取り下手で、実際にはここへたどりつけずにいたのですが)。
  • 【与えすぎお人好し型】(温かい寄り×受け取り下手)──人には惜しみなく与えて信頼も厚いのに、自分が受け取ることには強い抵抗がある。器はあるのに、自分のぶんだけ常に空っぽになりがちなタイプ。
  • 【お金モテ型】(温かい寄り×受け取り上手)──与えることも受け取ることも自然にでき、『人を通じて』お金が巡っていく。器が体温で満ちている、調った状態です。

いかがでしょうか?ご自身が、いまどのあたりにいるか、なんとなく見当がついたかもしれません。大事なのは、どのタイプが優れているという話ではない、という点です。多くの方は状況によって行ったり来たりしますし、昔の自分のように『数字を増やすことばかり追いかけて息切れする』ということも、決して珍しくないのです。まずは「いま自分はここにいるのだな」と知ってあげること。それが、次の一歩の出発点になりますので。

定番の「器の広げ方」が表面で終わる理由〜使い慣れ・高級体験を試しても、株FXで1000万円超を溶かした自分が変われなかったワケ

「お金の器を広げる方法」と検索すると、たいてい同じような答えが並んでいます。いわく、大きな金額を使い慣れること。いわく、一流ホテルや高級レストランで、上質な体験に触れること。

こうしたアドバイスが、まったくの見当違いかというと、そうではありません。実際、ふだん触れない金額に体を慣らしていくことには、意味があります。ただ、多くの方がこれを試しても、なぜか器が広がらないまま終わってしまう。それはなぜか?

理由は、器の大きさを決めているのが金額そのものではなく、その奥にあるセルフイメージだからです。中身の”あり方”がこわばったまま、外側で高い金額に触れても、それは器を広げているのではなく、ただ背伸びをしているだけになってしまいます。背伸びはいつか疲れて、元の高さに戻ります。だから、表面をなぞる広げ方は続かないのです。

白状すると、かつての自分が、この落とし穴にどっぷりはまっていました。会社員時代、「早く独立したい」という焦りから、株やFXの必勝法を追いかけ、なけなしの貯金を一気に投じて、1,000万円を超える額を溶かしてしまったことがあります。あのときの自分は、「大きな金額を動かせるようになれば、器も一緒に大きくなるはずだ」と信じていました。

この大失敗を、お金モテ®の『お金の4つの窓』にあてはめると、絵に描いたような『C=事故投資』にあたります。この『4つの窓』は、支出を2本の軸で捉える『ものさし』です。横軸は、そのお金が「未来をつくる投資」なのか「いまを支える消費」なのか。縦軸は、使ったあとに『自分の体温(エネルギー)が上がる』か、それとも『上がらない』か、という一点。この2×2を掛け合わせると、支出は次の4つのマスに分かれます。

  • A=自己投資(投資×体温が上がる)──未来の可能性を育てる、活きた投資。
  • B=自己満足(消費×体温が上がる)──使うそばから心が温まる、自分をよろこばせる消費。
  • C=事故投資(投資×体温が上がらない)──自分を高めるつもりが成果につながらず、払った金額だけが霧のように消えていく出費。
  • D=必要経費(消費×体温が上がらない)──暮らしを回すために、消極的に払う出費。

株やFXで溶かした自分の1,000万円は、まさに『C=事故投資』のど真ん中。あのとき動かしていたのは、たしかに大きな金額でした。けれど心のなかは「早く楽になりたい」という不安と焦りでいっぱいで、体温はむしろ下がる一方だったのです。

大金に触れても、器はまったく広がりませんでした。それどころか、「失ったらどうしよう」という恐れが、器の上に重たい蓋をかぶせて、受け取れる量をギュッと狭めてしまった。この痛い経験から、自分はようやく気づいたのです。器は、外から大きな数字を注げば広がるものではない、と。

器を「あり方の広さ」で捉え直す〜広げるより先に「今の器を知り受け入れる」自己受容という空白

こうして眺めてみると、ひとつ、ハッキリしてきたことがあります。お金の器とは、口座に入る金額の大きさのことではなく、お金や好意を「素直に受け取れる、あなたのあり方の広さ」のことだ、ということです。

だとすれば、やるべきことは「器を大きくする努力」ではありません。器を広げようとする前に、まず『いま自分が受け取れているのは、このくらいなのだ』と、そのままを知って、受け入れること。この『自己受容』こそが、じつは、世の中の「広げ方」記事がまるで触れていない、大きな空白なのです。

なぜ、広げる前に受け入れることが先なのでしょうか?理由は、「いまの自分ではダメだ、もっと大きくならなければ」という否定を出発点にしているかぎり、どれだけ大金に触れても、その否定感が、器の上にまた新しい蓋を重ね続けるからです。「足りない、足りない」で走る人のところには、なぜかいつも”足りない現実”がやってきます。昔の自分が1,000万円を溶かしたのも、突きつめれば「いまの自分では足りない」という焦りが、すべての出発点にあったのです。

反対に、『いま受け取れているのは、このくらい。それでも、いまの自分は十分ちゃんとやれている』と受け入れられたとき、心のなかの恐れが、少しずつ軽くなっていきます。恐れが軽くなると、押し返していた手がゆるみ、はじめてお金や好意が、そのまま器のなかに留まれるようになる。広げようと力むのをやめた瞬間に、皮肉なことに、器はいちばん自然にゆるむのです。

器が広がる前兆と朝晩3分の体温チューニング〜大きくするのではなく『思い出す』という逆張りの実践

では、器がゆるみはじめると、それはどんなサインとなって表れるのか?わかりやすい前兆が、いくつかあります。奢られたときに、お返しを焦らず「ありがとうございます」と言えた。少し高い買い物をしたのに、罪悪感より満足感のほうが長く残った。臨時収入が入ったとき、不安ではなく「何に使おう」というワクワクが先に来た。こうした小さな心の変化こそが、器が広がりつつある、確かな前兆なのです。

この前兆を日々そだてていく実践が、朝晩3分の『体温チューニング』です。この体温というのは、あなたのエネルギーの指標のこと。お金を使うとき、受け取るとき、自分の体温が上がる感じがするか・下がる感じがするか、それを毎日ていねいに確かめて調えていく習慣です。難しい手順は、何ひとつ必要ないのです。

  • 朝の3分──今日使う予定のお金を、ひとつだけ思い浮かべてみましょう。そのうえで『この一回で、自分の体温はちゃんと上がるだろうか?』と、自分に尋ねてみます。上がる感じがするなら、その出費に、心のなかで小さくOKを出してあげましょう。
  • 夜の3分──今日入ってきたもの(お金・好意・ほめ言葉)を、ひとつ思い出しましょう。そして押し返さずに「ありがとう、受け取ります」と、心のなかでつぶやいてみます。受け取る筋肉を、少しずつほぐしていくイメージです。

そして、器がゆるむのを後押ししてくれるのが、『お金の4つの窓』の『D→Bのシフト』です。『D=必要経費』は、さきほど触れたとおり、暮らしを回すために”払わざるを得ない”と感じている出費のこと。ただ、そう思い込んでいるだけで、よく見ると、使っていないサブスクや惰性の固定費など、”見直せる無駄”が紛れていることが多いのです。この見直しで浮いたぶんを、『B=自己満足』(自分の体温がちゃんと上がる、心地よい消費)へ、少しずつ流してあげる。この橋渡しが効くのです。

はじめの一歩は、拍子抜けするほど小さな金額で十分です。使わなくなった数百円のサブスクを解約して、浮いたぶんで、ずっと飲んでみたかった一杯のコーヒーを味わう。ほんとうに、それだけで十分ですので。小さな『体温が上がる受け取り・使い方』を、毎日コツコツ重ねていくうちに、器に蓋をしていた恐れや不安が、少しずつほどけていきます。これは器を大きく”する”作業ではありません。もともと自分のなかにあった体温を、思い出していく作業なのです。

お金の器は、あなたが忘れていた温度を取り戻す旅

お金の器をめぐって、ずいぶん遠くまで歩いてきました。最後に、いちばんお伝えしたかったことを、置いておきたいと思います。

お金の器は、あとから増設する容器ではありません。それは、あなたが生まれたときからちゃんと持っていた『体温』そのものなのです。赤ちゃんは、差し出された愛情も、抱っこも、ミルクも、なんの遠慮もなく、まっすぐに受け取りますよね。「こんなにもらっていいのだろうか」なんて、一度も考えません。あの、受け取ることへの疑いのなさこそ、じつは、あなたの器のいちばん広い姿だったのです。

大人になる途中で、私たちは「もらいすぎてはいけない」「自分にはこのくらいがお似合いだ」という思い込みを、少しずつ身にまとってきました。器が小さくなったのではなく、もともと広かった器の上に、遠慮という蓋を、一枚また一枚と重ねてきただけなのです。だとすれば、やることはシンプルです。新しく大きな器を買いに行くのではなく、蓋を一枚ずつ外して、もとの温度を思い出していけばいいのですから。

お金というのは、あなたのあり方を、そっくりそのまま映し返してくる鏡のようなもの。器を広げようと力んで大金を追いかけていた昔の自分の鏡には、いつも焦りと恐れが映っていました。でも、広げる努力を手放して、いまの器をそのまま受け入れ、朝晩3分だけ自分の体温に耳を澄ますようになってから、独立して10年以上、好きな仕事を続けてこられています。数字を追いかけるのをやめたら、『人を通じて』お金が巡ってくれるようになったのです。

今日からぜひ、「もっと大きく」ではなく、「もともとの温度を思い出す」という視点で、ご自身のお金とのつきあい方を眺め直してみてください。あなたの器は、これから広げるものではなく、とうにあなたのなかにある。その温かさに気づく、確かな手がかりが、きっとみつかりますので。

その鏡に映る自分の器が、いまどのタイプにいるのか——まずはそこを、診断してみるところからはじめてみてはいかがでしょうか?蓋を一枚外す旅は、きっとその「今の器を知る」一歩から動きはじめますので。

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ともたけ@お金モテ®の人
お金モテ®︎の人|お金にモテるって、面白い。|東大→JR九州→MBA→(株)with my style代表|株とFXで1000万円溶かす→お金との向き合い方を変えて再起→メルマガ売上8桁→被災地へ仲間と211万円寄付|法人10期目|オンラインサロン10年運営|競馬・ホテルステイ・読書・クレカ・マイル・BTC好き|オーストラリア馬主
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