PREP(プレップ)法とは主にビジネスでのプレゼンテーションや論文発表はもちろん、ブログやメルマガを書く時にも有効な、シンプルながらも説得力を持ったストーリー調の文章を書くことのできる文章力を飛躍的に高めることのできる書き方の一つです。
『PREP』には一文字ずつそれぞれに意味があり
- 「P」= POINT 結論、要点(自分が主張したいポイント)
- 「R」= REASON 理由(どうしてその結論に至ったのか?)
- 「E」= EXAMPLE 具体例(理由を裏付ける実例を挙げる)
- 「P」= POINT 結論、要点(再度、自分が主張したいポイントを示す)
これがPREP(プレップ)法の文章の流れになります。
このPREP法を活用する時に意識しておくべきポイントは3つあります。
文章力アップの秘訣1:結論を先に言う
1つが「結論を先に言う」ということ。
なぜ、結論を先に言ったほうが効果的なのか?と言えば、人は一番最初の文章の読み始めや、人の話の出だしの30秒程度が最も集中力が高いと言われているからです。
人に何かを伝えたい、理解して貰いたい、分かって欲しい、賛成して貰いたい、納得してもらいたい。
そう思って文章を書くのであればなおさら、まずは結論を伝えた方が効果的だということですね。
特に日本語は最後まで聞かないと結論が分からない言語になってます。
例えば
「私は今このプロジェクトに参加していて、こんな風に仮説を立てて、今こうした作業をしているのですが、実は先日、こんなトラブルがあって、その件で〇〇さんに呼び出され・・・」
と長々と言われても、何を聞きたいのか?は最後まで聞かないと分かりません。
そうしているうちに、
・プロジェクトに参加したくないのか?
・それとも、作業を手伝って欲しいということなのか?
・それとも、トラブル解決のアイデアが欲しいのか?
・それとも〇〇さんとの間に入って欲しいのか?
など、たくさんの「???」が生まれて来て、ただでさえ忙しい相手の時間とエネルギーをいとも簡単に奪ってしまうのです。
そして、相手から時間とエネルギーを奪いすぎると、相手は次第にイライラしてきて、「結局何を言いたいのか分からない」と言われて聞く耳を持たれなくなる可能性が高くなってしまうのです。
あなたが逆の立場だったら、と考えたら、そうなってしまう理由が分かると思います。
これは会話だけでなく、文章でももちろん同じです。
文章も会話と同様に相手に何かを伝えるコミュニケーションだからです。
普段の友人との日常会話であれば、前置きが長くてもさほど問題はないと思いますが、仕事(ビジネス)であったり、誰かに何かを伝えたいことがあってブログやメルマガの文章を書いているのであれば、まずは結論を先には忘れずに心がけたいですね。
そして、できるだけ相手がエネルギーを使わなくても理解できる、分かりやすく、簡潔な文章を書くことを意識する。
そうすることで、格段に、あなたの言いたいことが誤解なく伝わって、理解して貰いやすく、納得して貰いやすい文章が書けるはずですので。
先ほどの具体例の例文を挙げるとするなら
「もし可能であれば、私が参加しているプロジェクトを手伝って頂けませんか?実は先日、不測のトラブルがあって、もう2週間ほど進捗が遅れている状況なのです・・・〇〇さんは××がとても得意だと社内でも評判ですから、ぜひ〇〇さんの力をお借りしたいのです!」
という感じですね。何をして欲しいのか?その結論を先に伝えて、その後すぐに理由を説明する。そうすることで、話を聞いて貰えたり、受け入れて貰える可能性はグッと高まりますのでぜひ試してみてくださいね。
文章力アップの秘訣2:相手のなぜ?どうして?を先回りして理由と具体例で答える
2つ目のポイントは、あなたが結論を主張した直後に出てくる、相手のなぜ?という疑問をある程度想定したうえで、その疑問に対する理由と具体例をあらかじめ用意するということです。
これは、人間は相手が何らかの結論を主張したら、その直後に「なぜ?」「どうして?」というもっともな疑問を感じる生き物だからです。
だから、その後には必ず「なぜなら・・・」「というのも・・・」という風に続けて、理由を提示する必要があります。
主張したら理由を必ず伝えること。
これを忘れてしまうと、説得力に欠けた文章になるので十分注意が必要です。
また、理由を説明する時に特に重要になってくるのが、その理由を裏付ける具体的な根拠を事前に想定して準備しておくことです。
例えば、私が「宝くじは買うべきか、買わないべきか」という問いに対して、「買うべきでない」と主張する文章を書くとします。
その直後、当然「なぜ?」「どうして?」という疑問が、読み手の頭の中に自然と生まれるので、それに対して「期待値が極めて低いから」と理由を説明するとします。
でも、これでもまだまだ説得力は低いと言えます。
というのも、「期待値が極めて低いから」という理由だけではまだ情報が少なく、抽象的に聞こえてしまうからです。
そこで、
「宝くじ公式サイトによると、一般的な宝くじの還元率(期待値)はおよそ45%となっています。
ということは、確率統計的に言えば、1000円買えば、その瞬間におよそ450円しか戻ってこないという、極めて勝ち目の薄い立場に置かれるうえに、他のギャンブルの還元率、例えばJRA(中央競馬)の約70〜80%、パチスロの約90%と比較しても圧倒的に不利となっています。
もちろん、1等前後賞が当たれば最大で10億円が手に入る可能性はあり、ゼロではないのですが、でも、一等に当選する確率は落雷に打たれて死亡するのと同じ1/1000万の確率で、飛行機事故や自動車事故で死亡する確率のほうが圧倒的に高いことを考えると、現実的でないと言わざるを得ません。
従って、買うべきでないと結論づけました。」
と具体的に説明すれば、その内容が全て正しいかどうかはさておき(もちろん正確であるように努力する必要はありますが)、数字で示されたり、他との比較があるのでイメージしやすく「なるほどね」と納得して貰いやすい文章になるのです。
もちろん、これは逆に「宝くじは買うべき」という主張をする場合にも同じです。
いずれにしても、文章を書く時に大事なのが、相手の頭のなかに出てくる「なぜ?」「どうして?」という疑問をあらかじめ想定して、先回りして、具体例で示してあげることなのです。
結論を先に言うのと同じで、相手の時間やエネルギーを奪わないことで、相手に対してスムーズに伝わる文章になるのです。
もし、相手の疑問に答えられなかったとしたら、相手は貴重な時間とエネルギーを使って文章を読んだのに、疑問が残ったままだとモヤモヤしてしまい、結果
「文章を読んで損した、時間を返せ!」
と感じる可能性が高くなってしまうのです。
でも、逆に、相手の頭のなかに出て来るであろう疑問を想定して、その回答をあらかじめ盛り込んだ文書を書いておけば、相手は、
「この文章を読んでよかった!役に立った!!ありがとう!!!」
とむしろ感謝してくれる可能性があるからです。
理由を伝え、その根拠となる具体例を示す文章が有効なのは、相手の時間とエネルギーをできるだけ使わせずに相手に価値を提供することができるからなのです。
そんな文章が書けたのなら、きっと相手は書き手であるあなたに感謝して、納得して、結論として主張した意見に賛成してくれることでしょう。
文章力アップの秘訣3:抽象と具体を行き来することを意識する
最後の3つ目のポイントが、抽象と具体を行き来することを意識する、ということです。
PREP法では抽象的な結論からはじまって、具体的な理由と具体例を経由して、最後に抽象的な結論へと往復して還ってくることで、文章にまとまり感や納得感を出すことができるのです。
最初に主張した結論から、いろいろな具体例に話が行って遠ざかった後というのは、読み手の頭のなかでは、後から出て来た理由や具体例に最初の結論が追いやられて、一体、なんの話だったのかを忘れてしまいがちです。
その点、また最初に戻ってきて、最後に結論を提示することで、「あ、そうだった!結論はこれだったね!!」と再度、念押しすることができ、相手の記憶のなかで存在感が薄くなってしまっていた、あなたの結論をもう一度、蘇らせてあげることができるのです。
それが結果的に、あなたが最初に主張した結論を思い出すために、相手が自らのエネルギーを使って、記憶のなかから探し出さずに済むようにできるので、結果として、より伝わりやすく、納得され、賛成されやすい文章になるのです。
PCやスマホで記事を読んでいても、最後にまとめがないと、「で、結局、なんだったっけ?」となりやすいですし、記事のトップにスクロールして戻るのなんて誰でも面倒ですよね?
それと同じで、結論を述べたのなら、最後にもう一度結論を述べることで、相手により伝わりやすくなるのです。
文章を書く時は、いかにして相手に伝えたいことが伝わるか?がポイントになってきます。
その型としてのPREP法は理にかなっていて、とても有効だと言えます。
でも、どうしてなのか?と言えば、徹底的に読み手視点にたって、読み手が感じるであろう疑問を、あらかじめ予想して、それを順序よく解消してあげる、いわばストーリー仕立ての流れになっているからです。
相手からエネルギーをできるだけ奪わない文章構成になっているからこそ、相手に伝わる文章になる、ということなんですね。
文章力アップのヒント:文章はセンスか?
文章はセンスが大事だと思われがちですが、それよりも型を身につけたほうが上達は早いと言えます。
柔道や剣道といった武道では必ずと言っていいほど、まず型を身につけるところから入りますし、もっと身近な例で言えば、例えば野球ならバットを素振りをしたり、キャッチボールをするところからはじめますよね?
これが基本の型であり、まずは型を身につけてから、土台が出来たと感じてきたら、そこから自分なりに応用させていく。
このことは文章でも同じであり、よく言われる『守・破・離』の「守」に当たるのが文章の型としての今回のPREP(プレップ)法なのです。
一度でも型ができれば、順番に「破」「離」と進むにつれて、徐々にあなたならではセンスが磨かれていくことになります。
今、センスある文章が書ける人も最初は「守」を守って、そこから応用しているだけなのです。
そのためにも、相手に何か伝えたいことのある文章を書きたいのであれば、まずは、このPREP法を意識して書いてみることをオススメしたいと思います。
まとめ:PREP(プレップ)法
PREP(プレップ)法とは、主にビジネスや論文はもちろん、ブログ記事やメルマガなどを書く時にも有効な、シンプルながらも、説得力を持ったストーリー調の文章を書くことのできる文章術の一つです。
- 「P」= POINT 結論、要点(自分が主張したいポイント)
- 「R」= REASON 理由(どうしてその結論に至ったのか?)
- 「E」= EXAMPLE 具体例(理由を裏付ける実例を挙げる)
- 「P」= POINT 結論、要点(再度、自分が主張したいポイントを示す)
その文章構成が効果的な理由は、読み手の時間やエネルギーを奪いにくい構成になっているからです。
PREP法の特徴をまとめると、
(1)自分の伝えたい内容が正確に伝わるので誤解が起きにくい
(2)説得力が増すので、納得して貰いやすく、賛成やYESを引き出しやすい
(3)簡潔に伝えたいことが伝えられるうえに、構成もシンプルで覚えやすい
そんなメリットいっぱいのPREP法を身につけて、ぜひあなたも伝えたいことが伝わる文章を書いてみてくださいね!