お金に色はないのに色がつく理由|稼ぎ方と使い方でわかる4タイプ

「このお金は、なんだか使いたくないな」。「これは、自分が使っていいお金じゃない気がする」。振り込まれたお給料の数字は素直に嬉しいのに、親から送られてきたお金には、なぜか手をつけられない。そして、臨時収入で入ったお金だけは、気づけばその日のうちに消えている。そんな経験はありませんか?
一万円札は、誰の手に渡っても一万円の価値があります。そこに名前も由来も書かれてはいません。それでも私たちは、それぞれのお金に違う意味づけをしながら暮らしています。この記事では、独立して10年以上『お金モテ®』というお金の哲学をお伝えしてきた立場から、私たちが無意識にお金につけている「色」を手がかりにしながら、お金との向き合い方を見直す方法をお話ししていきます。
「お金に色はない」の意味|先に結論を
結論を先にお伝えすると、次の3行になります。
- 「お金に色はない」というのは、お札に出どころが記録されていないのと同じで、働いて得た一万円も、もらった一万円も、額面としては同じ一万円になるという意味です。
- それでも私たちは、お給料と臨時収入をまるで別のお金のように扱いがちです。この色をつけているのは、お金の側ではなく私たち自身なのです。
- ですので、お金の色を変えたいときに変えるのは、お金のほうではありません。変えるのは、そのお金に色をつけている自分自身のほうになります。
お借りする専門用語はひとつだけですし、意味は日常の言葉に言い換えていきますので、どうぞ安心して読み進めてください。
「お金に色はない」と「お金に色をつける」|どちらも正しい理由
「お金に色はない」。これは経済や会計の世界でよく使われる言い方です。お札は無記名ですから、汗水たらして働いて得た一万円も、宝くじで当たった一万円も、額面としては同じ一万円になります。出どころを問わずに交換できることこそが、貨幣(マネー)という仕組みの便利さそのものだからです。
一方で、家計や経理の現場では「お金に色をつける」という言い方をします。この口座のお金は生活費用、この口座は納税用、この口座は貯蓄用、といった感じで、お金の使い道ごとに口座を分けておく。そうすることで、元々は無色だったはずのお金に、人が意味づけをすることで色がつくのです。
それでは、正反対に聞こえる二つの言葉が、どうしてどちらも正しいものとして使われているのでしょうか?理由は、見ている層(レイヤー)が違うからです。前者はお金そのものの性質のお話で、後者は人がお金に与える意味づけのお話です。つまり、色をつけているのはお金ではなく、いつでも私たちの側だということなのです。
「お金に色はない」の使い方と、「悪銭身につかず」との違い
この言葉が口にされる場面は、おおよそ決まっています。ひとつは、資金の出どころを区別しないと決めるとき。もうひとつは、「そのお金は、どうやって手に入れたのか」と出どころを詮索されたときに、額面としての価値は変わらないと返すときです。
ただ、この言葉には、混同されやすい点がひとつあります。「お金に色はない」は、稼ぎ方を正当化するための言葉ではありません。交換の手段としてのお金に色がないというお話と、そのお金をどうやって受け取ったのかというお話は、別の層(レイヤー)のお話です。前者は仕組みの説明で、後者は生き方やあり方に関わる問いです。この二つを混同してしまうと、便利な言い訳の道具に変わってしまいますので注意が必要です。
似た響きの言葉に「悪銭身につかず」があります。不正に得たお金は結局のところ残らない、という意味の言い回しですが、よく見ていただくと、この言葉が指しているのはお金の側ではなく、そのお金を受け取った人のほうだということがわかります。二つの言葉は、正反対のことを言っているようでいて、実は近いことを、別の角度から表現しているように私にはみえます。額面に色はないけれど、受け取り方はその人の人間性が表れる、ということなのです。
同じ一万円を別扱いしてしまう|メンタルアカウンティング(心の会計)
この、同じ金額のお金を出どころや名目ごとに分けて考えてしまうクセには、行動経済学の名前がついています。「メンタルアカウンティング(心の会計)」と言い、リチャード・セイラー(2017年にノーベル経済学賞を受賞した行動経済学者)が提唱した理論です。人は頭のなかに複数の口座を持っていて、そこでお金を勝手に振り分けている、という考え方です。実際にはひとつのお財布なのに、お給料からは慎重に支払い、臨時収入は気前よく使ってしまう。これは、心の会計が無意識に両者を別々の口座で処理しているからです。
これをお金モテ®の言葉に訳すと、私たちはお金を受け取った瞬間に、そのお金へ「これは守るべきお金」「これは消えてもいいお金」という風に色を塗っている、ということになります。そして、塗っているのが自分であるのなら、塗り替えることもできるのです。
この意味づけには、その人の考え方のクセがそのまま出ます。ですので、自分がどんな色を塗っているのかを眺めてみることは、自己理解の格好の手がかりになると言えるでしょう。
色が乗るのはお金ではなく、そのお金が運んできた信用と信頼のほう
お金モテ®では、お金を2種類に分けて考えます。ひとつが『冷たいお金』で、社会的な「信用」から生まれます。お給料の額、銀行口座残高、資産額といった、数字でハッキリと管理できるお金のことです。日々の暮らしを支える『土台』になりますので、ここに厚みがあるほど、人は不安に飲み込まれずに、次の挑戦を選ぶことができます。
もうひとつが『温かいお金』で、こちらは「信頼」から生まれる『信頼残高』になります。目にはみえず、数値化されない非言語のお金です。この残高が豊かな方ほど人間関係に恵まれ、喜ばれ感謝されながら、好きなお仕事で生計を立てていることが多いもの。逆に、温かいお金が少ない方ほど、興味の持てない仕事を生活の維持だけのために続けているケースが多い、というのが私が10年以上見てきた実感です。
ここで面白いのは、色が乗るのはお金そのものではなく、そのお金が運んできた信用や信頼のほうだ、ということです。無記名のお札に色は残りませんが、「あの方から受け取ったお金」という記憶は、渡した側にも受け取った側にも確かに残ります。お金に色を塗っているのは、やはり私たちの側です。ただ、その色が乗るのは、額面のほうではなく、お金と一緒に動いた信用と信頼のほうなのです。
ですので、後ろめたいやり方で手にしたお金であっても、そのお札そのものが汚れるわけではありません。色がつくのは、お金ではなく、それを手にした本人のほう。信用も信頼も、お札ではなく、その方自身に積み重なっていくものだからです。自分の稼ぎ方を、大切な人に胸を張ってお話しできるかどうか。これは金額よりもずっと大切な問いになります。
昔の私は、株とFXで1000万円超を溶かしました。画面の数字が増えた日もありましたが、その利益に誰かの顔が浮かんだことは一度もありませんでした。誰の信用も信頼も運んでこないまま私の元へとやってきて、そのまま泡のように消えていったのです。

あなたのお金は何色?|稼ぎ方と使い方でわかる、お金の色4タイプ
私の経験上、お金とのつきあい方は、稼ぎ方と使い方の組み合わせで、おおよその見当がつきます。横軸には稼ぎ方、つまり、そのお金が数字の「信用」から来ているのか、人からの「信頼」から来ているのかを置きます。そして縦軸には使い方、つまり、そのお金を使ったときに自分の体温(エネルギー)が上がるかどうかを置きます。すると、4つのタイプに分かれます。
- 灰色タイプ:数字の信用で稼ぎ、数字を守るために使っている状態です。生活の『土台』は厚いのですが、体温の上がる出費がほとんどありません。人よりもお金を信じる方向へと傾きやすい側面があると言えるでしょう。
- 赤色タイプ:数字の信用で稼ぎ、使うときには自分の体温が上がるほうへお金を流している状態です。自分で自分を『満たす』一歩を、すでに踏み出せている状態です。ただし、勢いのまま使ってしまい、あとから資金繰りに悩まされやすい傾向にあると言えるでしょう。
- 青色タイプ:人からの信頼で稼いでいるのに、使うときには体温の上がらないお金の使い方をしてしまう状態です。喜ばれて受け取ったお金を、将来の不安などから抱え込んでしまいやすい傾向にあると言えるでしょう。
- 金色タイプ:人からの信頼で稼ぎ、使うときにも自分と相手の両方の体温が上がるお金の使い方をしている状態です。この状態は人を通じて自然とお金が循環しやすいと言えるでしょう。
この4タイプは、どのタイプが良いのか悪いのかを区別するためのものではありません。理由は、稼ぎ方というのは、その方がこれまで歩んでこられた道のりそのものだからです。ここで見ていただきたいのは、自分の稼ぎ方と使い方が今どうなっているのか、という現在地です。稼ぎ方はそう簡単には変えられませんが、使い方のほうなら今日から少しずつ変えていくことができます。ですので、まずは自分がどのタイプなのかを知るところから、はじめてみることをオススメします。

色を塗り替える方法|変えるのはお金ではなく自分のほう
経営の世界では、事業のお金と家計のお金を口座で分けます。お金そのものに色がないからこそ、人の手で色分けをする必要があるわけですね。これは冷たいお金をしっかり管理して守るための、とても大切な作法だと言えるでしょう。
具体的には、口座を3つに分ける方法をオススメしています。1つめが日々の生活費の口座、2つめが納税用の口座、3つめが将来のための貯蓄の口座です。売上のように、税金などが引かれる前のお金が入ったら、まず所得税や住民税、社会保険料に当たる分を納税用口座へ移してしまいます。そうして貯蓄用口座へ将来のための分も移し、残った金額が、その月に使うことのできるお金になります。こうしておくことで、1年後に自分が支払うべきお金を、今の自分が使い込んでしまわないようにすることができます。数字のうえでは同じ残高だったとしても、私の実感では、心の負担が驚くほど軽くなりますので、まずは納税用の1つだけでもつくってみましょう。
ただし、口座を分けただけでは、お金との関係性そのものは変わりません。理由は、口座の色分けはお金の側を並べ替える作業にすぎず、色を塗っている本人の、意味づけのクセまでは変わっていないからです。
ですので、ここからは支出そのものを見ていきます。ここでオススメなのが『お金の4つの窓』という、お金モテ®でお伝えしているお金の使い道の4区分になります。先ほどの4タイプが稼ぎ方と使い方の組み合わせを見るものだったのに対して、こちらは使い方だけを細かく割った見方になります。横軸に消費と投資、縦軸にエネルギー(体温)の高低を置くと、支出は4つに分かれます。
- A『自己投資』=自分の未来の可能性と『あり方』を育てていくための使い方です。
- B『自己満足』=自分の体温が上がって、心地よさの残る消費です。
- C”事故投資”=自己投資のつもりで使ったのに成果も体温も上がらず、お金だけが手元から消えてしまった手痛い出費です。
- D”必要経費”=暮らしを回すために、消極的に支払っている出費です。
色を塗り替える一歩は、D”必要経費”をB『自己満足』へ少しずつ移していくことです。ここで大切なのは、Dの中身を一度疑ってみることです。「支払わざるを得ない」と思い込んでいるだけで、実際にはもう使ってもいないサブスクや、惰性のまま続いている固定費が混ざっているケースが少なくないからです。
ですので、まずは引き算からやってみましょう。使っていないサブスクをやめる。惰性で続いている固定費を減らす。気の進まないおつきあいは、参加頻度を下げる。そこで浮いた金額は、そのままBに回せるお金になりますので。
これは、単なる我慢や節約のお話ではありません。理由は、Dを減らしてBへ回すという判断を自分でするたびに、「お金は減っていくもの」から「自分を満たすために使うもの」へと、お金との向き合い方や感覚そのものが変化していくからです。ここで変化しているのは家計簿の数字ではなく、そのお金を自分のために使うと決めた自分のほうなのです。
使うときの判断軸はたったひとつだけ。「この使い方で、自分の体温(エネルギー)が上がる感じがするかどうか?」。答えがYesなら優先的に使っていきましょう。金額は小さくて大丈夫です。小さく何度も繰り返していくことで、お金を使うことへの怖さが少しずつ和らいでいって、上手に使えるようになっていきますので。

おわりに
お札そのものは無記名ですので、色はありません。でも、意味づけという意味では確かに色があります。そして、その色を塗っているのは、お金ではなく私たち自身なのです。
お金は、今の自分の『あり方』がスクリーンに映し出された影のような存在だと言えます。そのスクリーンに映った影の色を、いくら塗り替えようとしても変わりません。変えることができるのは、影ではなく実体としての私たちのほうだからです。
先ほどお伝えしたD”必要経費”からB『自己満足』への一歩も、実は、何にお金を使うのかを選び直すことによって、実体としての自分の『あり方』のほうを変えていく作業だったのです。色が変わるのは、その結果としてであって、この順番が逆になることはありません。
ぜひ今日から、お金を見るたびに「今、自分はこのお金に何色を塗っているんだろう?」と眺め直してみてください。実体である自分の『あり方』が変われば、お金との関係性も次第によりよい方向へと変わっていきますので。
あなたが今、最も多く塗っている色は、冷たいお金寄り?
それとも温かいお金寄り?
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