イギリスのEU離脱から私たち日本人が学ぶべき3つのポイント

6月24日の日本時間12時40分頃のこと。

気になっていたイギリスのEU離脱の是非を問う国民投票の結果が、そろそろ公表される頃だと知っていたので、妻と二人でNHKのBSニュースを見ていました。

すると、

「イギリスは欧州連合(EU)を離脱へ」

というニュース速報が流れ、その瞬間

「きっとマーケットは今頃大混乱なんだろうなあ・・・」

と、どこか達観した気持ちになったのです。

案の定、その日の日経平均株価はサブプライム危機の時の最大下げ幅である1089円安を上回る1286円安(約8%安)の暴落を記録したほか、為替相場では2年7ヶ月ぶりに一時1ドル100円を割り込んで99円台に突入するなど、実に7円もの値幅変動を起こし、変動率としては過去最大となる大混乱の様相を呈していました。

その背景にあったのがイギリスの国民投票における残留派と離脱派の趨勢の読み違いでした。

事前の予想では両者は拮抗してはいるものの、残留派のほうが離脱派よりも僅かに優勢だと多くの人が想定していたのです。

その証拠にイギリスのブックメーカーのオッズも直前まで残留派優勢の数字を示していたことも分かっています。

ところが開票が進むに連れ、残留派よりも離脱派の勢いが強いことが徐々に多くの人に認識されていきました。そして最終的に「イギリスはEUから離脱する」というイギリス国民の意思が世界中の驚きとともに示されたのです。

結果は大方の予想を覆すものだったこともあって「驚き(サプライズ)」という名の感情が生まれました。

そして、その感情がマーケットを大混乱に陥れたのです。

私は、マーケットが乱高下する様子を傍目で見ながら、いつの時代も変わらず、良くも悪くも世の中に大きな影響を与えるのは人間の感情なんだということを改めて感じたのです。

今回の国民投票によってイギリス国民の意志が示されたことが今後に与える影響については、政治や経済の専門家の皆さんが様々な視点から語ってらっしゃいますので、そうした世界や国といったマクロな視点ではなく、あくまでひとりの日本人としてのミクロの視点から、押さえておいた方が良いと感じた3つのポイントをシェアしたいと思います。

大衆の判断は長期よりも短期、理性よりも感情が優位な傾向にある

株式相場や為替相場といったマーケットの急変の背景には常に、人間が生まれながらにして持つ、驚きや恐れ、不安や歓喜といったダイナミックな感情があるのと同様に、人間が何かを判断し行動する際にもその裏側には必ず感情が潜んでいるものです。

ところがこの人間の感情というものはとてもやっかいなもので、普段は冷静に長期的かつ合理的な視点から判断する人であっても、感情が優位にならざるをえない環境に身を置いた途端、いとも簡単に感情的かつ非合理的で短期的な視点から判断し行動してしまいがちなのです。

今回のイギリスの国民投票の争点は

長期的な視点で見て、EUに残留することで、ある程度の経済合理性を確保しつつ、欧州という名のひとつのコミュニティのなかで一体感を醸成していく未来にコミットするのか

それとも短期的な視点で見て、EUから離脱することで、多くのイギリス国民が感じていたと思われる移民に対する不満、例えば職が失われたり、賃金が上がらないといった、現実的で経済的な豊かさを享受できないでいることに対する不満を解消するのか

その2択であったように感じます。

そして多くのイギリス人がアタマでは残留したほうがいいんだろうなとは分かっていても、ココロのなかではずっと抱え続けていた不満の感情をこの機会にスッキリ解消したい!

そんなジレンマが国民投票の拮抗状態を生み出していたようにも見えました。

そして、大方の予想に反してイギリスはEUから離脱するという判断を下したのです。

今回のイギリスの国民投票を通じて、長期的で合理的な理性よりも短期的で非合理的な感情で物事を判断し行動する傾向にあるという人間の本質を、改めて見せつけられたように感じます。

経済に関する知識や理論を知り、それを活用することで、正しいあるべき社会像を追求することももちろん大事な視点だとは思いますが、一方でマーケットの有名な格言にも「大衆は常に間違う」という言葉があるように、感情そのものが、経済はもちろんのこと世界をも動かしていて、その結果、多くの人が望まない世界を生み出すこともあるという事実を過小評価してはいけないと私は思うのです。

感情の力を侮ってはいけない。今回の一件でそう強く感じたのです。

数の論理からは逃れられない

今回の国民投票の結果で象徴的だったのが世代間格差でした。

というのも、各マスメディアで報道されたどの統計結果を見ても、一貫して若い世代ほど残留派が多く、高齢になればなるほど離脱派が多いことを示していたからです。

「EUの中のイギリス」で育った、これから人生の本番がやってくる若い世代の多くが長期的な視点から残留を支持したのに対して、過去の大英帝国時代の栄華を知りその時代への郷愁が強いと言われる高齢者世代の多くが、短期的な視点から離脱を支持したことを私はとても興味深く感じました。

成熟した先進国である日本と同様に、高齢者の割合が多いイギリスでも、短期的な視点で判断する傾向にある高齢者の行動によって若い世代の人生は大きな影響を受けるという現実が露わになったのです。

これからまだまだ長く生きていく世代よりも、それほど長くない世代の意見のほうが尊重されてしまいやすいのは、日本でもたびたび言及されることの多い、高齢者に優遇されがちな「シルバー民主主義」のひとつの問題点でもありますが

ここでは、その是非を議論するのではなく、そうした現実を踏まえたうえで、それをどう乗り越えていくのか?を考えるほうがより重要だと私は感じているのです。

個人としてどんな生き方を目指していたとしても、数の論理によってその生き方の前提となる環境が強制的に書き換えられてしまうイベントが定期的に訪れるということは、歴史を振り返れば誰にでも気づくことのできることでもあります。

生き方のベースとなる国のあり方、社会のあり方、組織のあり方などは、私たちのような個人の意志とは関係なく、感情優位な社会全体の判断と行動の結果によってもたらされ、否が応でも私たちはそれを前提に生きていくことを求められるからです。

個人の意志とは関係なく、常に数の論理によって私たちの生き方は影響を受けている。

そのことは決して忘れてはいけないと思うのです。

分離意識は不必要な摩擦や争いを生み出しやすい

今回の国民投票の結果を受けて、2014年9月に行われたスコットランドのイギリスからの独立を問う住民投票が再び実施されるという報道や、ロンドンだけで独立してEUに再加盟しようとする動きなどが報道されるようになってきました。

イギリスは元々、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドからなる連合王国です。

ですから、残留を支持する人が多かった一部地域や都市がEUからの分離を決めたイギリスから分離独立しようとする動きが起こること自体は理解できるものです。

ただ、こうした分離、独立の先にある未来には個人的にはあまり希望が持てないのです。

なぜなら人間の分離意識は摩擦や争いを産む原因となるからです。

人間というものは面白いもので、つい直前まで自分の身体の一部だったはずの髪の毛や爪、排泄物などに対して「汚い」と感じることからも分かるように、自分から分離したもの、自分との一体感を感じられないモノに対しては極めて冷たい態度を取る生き物なのです。

つい先日、ファーストクラスがある旅客機の場合、エコノミークラスの乗客が騒ぎを起こす確率は、ファーストクラスがない旅客機の3.84倍に上るという研究結果が、カナダ・トロント大学のキャサリン・ディセレス准教授から報告されて話題を呼びましたが、自分とは違う世界があると認識すると、人間というのはより感情的になり、摩擦や争いを生み出しやすい生き物のようなのです。

そう考えた時、二度の世界大戦を経て、多くの犠牲を払って得た教訓をベースに、”ひとつひとつの欧州”から『ひとつの欧州』へと歩もうとしていたEUの理念とは真逆の方向に進もうとする、EUからの離脱やイギリスからの分離、独立の動きの先には不必要な摩擦や争いを引き起こす可能性が高く、今後は注意する必要があると感じざるを得ないのです。

まとめ:『人生のポータビリティー』を上げることの大切さ

個人的にはイギリスのEUからの離脱やスコットランドやロンドンのイギリスからの分離、独立の方向性は時代の大きな流れとは逆行するように感じています。

確かに現実的な問題として、低迷する経済、疲弊し続ける財政、移民の流入によって雇用コストが下がり給料が上がらないなど様々な問題があることも事実です。

ただ、それを踏まえたうえで、どんなに困難に見え、答えがないように思えたとしても、それでもどのように前に進んでいくのか?を考え、一歩でも前に進もうと努力することが建設的な生き方だと私は思うからです。

とは言え、個人として長期的な視点で理性優位で判断し行動したとしても、今回の国民投票のように、社会全体としては短期的かつ感情優位で判断し行動することもあります。

しかも、数の論理で有無を言わさず現実的な影響力を私たち個人ひとりひとりに行使してくるのです。

さらに、一体感ではなく分離を促すような目には見えない圧力や空気のような何かが社会全体に広がっていくと、多くの人にとって望まない不必要な摩擦や争いを生みやすい不安定な社会になっていくことになります。

そんな時代にあって、例えば正社員としてひとつの会社に雇用され続けることを前提とした生き方や、働く場所を自分の意志で動かせないような生き方をしている場合には、個人の意志とは関係なく、個人的には望んでいなかった世の中の変化が私たちの生活を直撃することも有り得るのです。

そんな望まない変化が私たちの生活に大きな影響を及ぼすことが明らかになった後で、生き方や働き方を変えようとすることは極めて困難なものになることが予想されることから、時代の変化に柔軟に対応できるようにと私が常に意識しているのが、インターネットを上手に活用して、できる限り国や社会、会社組織の変化の影響を最小限にしながら生きていくことのできる、自由度の高いライフスタイルへと予めシフトしておくことなのです。

言い換えるなら、国や社会、会社組織がどんな方向へと進もうと、その悪影響を最小限に留め、個人として人生の主導権をしっかりと握ったまま、経済的に自立して生きていく力を身に付けるということなのです。

そうした生き方のシフトのことを私は人生をポータブル化する』と呼んでいます。

今はインターネットを活用すれば、国や会社といった他者に依存し続けることなく、住む場所や仕事をする場所も個人の意志で柔軟に選択して、経済的に自立して生きていくことが可能な時代です。

いい意味で国や社会に期待せずに、自分の人生は自分の力で切り開き、国や社会からの悪影響をできるだけ避けることのできるライフスタイルを自らの手でデザインしていくことがこれからの時代を翻弄されずに自分らしく自由に生きていくためには必須のことだと私は考えているのです。

逆に、国や社会に過度に期待してしまうと、その期待が裏切られた時に怒りや憤りなどのマイナスの感情に支配され、感情の赴くままに判断、行動してしまいがちです。

でも、そうなってしまうと、今回のEUからの離脱を問うイギリスの国民投票のような結果を招いてしまいやすいのです。

今回の国民投票のような二者択一の選択は得てして望まない方向になりがちです。

リーグ戦で数十試合や百数十試合をこなす野球やサッカーの試合であれば、長期的に見れば強いチームが上位に来る可能性は極めて高いのですが、トーナメント戦では時にジャイアントキリングと呼ばれる大どんでん返しが起こる事も珍しくなく、国民投票という名の一発勝負にもその危険性が常に潜んでいるからです。

日本でもいよいよ選挙の季節です。

ただ選挙の場合は数年単位でやり直しをすることができますが、EU離脱の手続きや交渉は少なくとも2年はかかると言われているように、その後の影響を考えると、今回の国民投票の結果はおそらく十年単位の影響を与えることになるのではないかと懸念されます。

そう考えた時に、いい意味で自分以外の国や会社といった他人に過度に依存したり、期待しすぎたりしないこと。

そして信じるのは自分自身であること。

そうした経済的にはもちろんのこと、精神的にも自立した個人として生きていく力を身に付けることの価値は、これから大きくなることがあっても小さくなることはないように私は感じるのです。

今回のイギリスの国民投票は決して対岸の火事ではなく、私たち日本人にとっても多くの学びがあるように思います。

・大衆の判断は長期よりも短期、理性よりも感情が優位な傾向にある

・数の論理からは逃れられない

・分離意識は不要な摩擦や争いを生みやすい

この3つの視点を踏まえたうえで、個人としての『人生のポータビリティ』を上げることが求められる時代に本格的に入ってきたのかもしれません。

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